募集株式発行の現物出資における税理士の証明書と会計帳簿の役割について

令和7年度の司法書士試験における商業登記記述問題で、現物出資として金銭債権を募集株式発行に利用する際の手続きについて質問があります。この場合、税理士による証明書の添付と会計帳簿を利用した証明について、どのように対応すべきかを理解しておくことが重要です。

1. 現物出資における金銭債権の取り扱い

募集株式の発行において、現物出資として金銭債権が提供される場合、その金銭債権の価格が適正であることを証明する必要があります。この証明方法について、監査役である税理士が証明書を提供することが可能です。

税理士は、金銭債権の相当価格が適正であることを証明するための証明書を提供できます。特に、金銭債権が負債の帳簿価格を越えていないことを確認することが求められます。

税理士が証明書を提供することに関して、監査役としての役割が重要です。税理士による証明書は、金銭債権の価格が適正であるかどうかを証明するために有効とされます。

ただし、税理士の証明書はあくまで参考となる証明であり、法的効力を持つものではありません。金銭債権の価格を証明する際には、会社の会計帳簿に基づく証明が求められることもあります。

会計帳簿に基づく証明は、募集株式発行における金銭債権の評価において、最も信頼性のある方法です。実際の会計帳簿が金銭債権の価格を示すため、証明書に加えて会計帳簿を添付することで、より確実に証明することが可能です。

会計帳簿に基づいた証明を行うことで、税理士による証明書の添付がなくても、金銭債権の価格が適正であると認められる場合があります。そのため、現物出資に関する手続きを進める際には、会計帳簿を正確に整理し、必要に応じて補足資料を添付することが重要です。

現物出資における金銭債権の価格証明について、税理士の証明書と会計帳簿は、それぞれ異なる役割を果たします。税理士の証明書は価格の相当性を確認するための補助的な役割を担い、会計帳簿はその価格の詳細な記録を提供します。

両者を適切に使い分けることで、法的に求められる証明要件を満たし、募集株式の発行手続きを問題なく進めることができます。

募集株式発行における金銭債権の現物出資に際し、税理士の証明書と会計帳簿はそれぞれ重要な役割を担っています。税理士による証明書が補助的な役割を果たす一方、会計帳簿は金銭債権の価格を正式に証明するための基盤となります。

これらの証明書を適切に提出し、必要な法的要件を満たすことが、手続きを円滑に進めるための重要なポイントです。