建設業経理士2級の仕訳問題解説:工事進行基準と未成工事受入金の処理方法

簿記

建設業経理士2級の試験では、工事進行基準に基づいた仕訳問題がよく出題されます。この基準は、工事が進行中であっても、その進行度に応じた売上や費用を計上する方法です。特に、工事原価や請負金額が変更される場合に、仕訳の理解が重要となります。今回は、実際の試験問題に基づいた仕訳問題を解説し、よくある疑問を取り上げながら、解答のポイントをわかりやすく説明します。

工事進行基準とは?

工事進行基準は、長期にわたる建設工事において、工事が完了する前にその進行状況に応じて売上や費用を計上する方法です。これにより、工事が終了するまでに発生する収益や費用を適切に反映させることができます。

この基準を採用する場合、工事の進行度に応じて、完成工事高や完成工事原価を計上します。例えば、工事の進捗状況が50%であれば、請負金額の50%に相当する額を売上として計上します。

仕訳問題における進行基準の適用方法

実際の問題においては、請負金額や工事原価の見積額に基づいて、完成工事高や完成工事原価を仕訳します。例えば、ある工事の請負金額が9,200,000円で、工事原価が8,000,000円であった場合、進行度に応じた完成工事高と完成工事原価を計上する必要があります。

進行基準を適用すると、工事の進捗に合わせて以下のような仕訳を行うことができます。前期において工事原価が1,440,000円、当期において4,320,000円の工事原価が発生した場合、それに応じた完成工事高と完成工事原価を計上します。

未成工事受入金の処理方法

未成工事受入金は、まだ完成していない工事に対して前金として受け取った金額を処理する科目です。たとえば、工事着手前に3,000,000円を受け取った場合、その金額は未成工事受入金として仕訳します。

工事が進行し、ある程度進捗があった場合、未成工事受入金からその分の完成工事高を差し引きます。前期の完成工事高が1,656,000円であった場合、残りの金額は1,344,000円となります。

工事進行基準と利益の計上

進行基準に基づいた仕訳において、工事高から利益を含めた金額を引くのは直感的に不思議に思えるかもしれませんが、これは会計のルールに従った計上方法です。工事の完成度に応じて、売上(工事高)や原価(完成工事原価)を計上するため、利益を含めた工事高が重要な役割を果たします。

利益が含まれている理由は、工事が進行するにつれて、工事の完成度を示すだけでなく、収益をタイムリーに計上するためです。進行基準を適用することで、実際に行った作業の進捗とその費用を収益に反映させることができます。

仕訳の順番について

仕訳の順番に関する疑問もよくありますが、工事高と原価の順番が逆でも正解となる場合があります。実際には、仕訳の項目が一致していれば、順番が逆であっても大きな問題にはなりません。重要なのは、借方と貸方が正しく対応していることです。

したがって、仕訳を行う際には、借方と貸方の関係をしっかり理解しておくことが最も重要です。

まとめ

建設業経理士2級の試験における仕訳問題は、工事進行基準に基づいた収益と費用の計上方法を理解することが鍵です。工事の進捗に応じた完成工事高や完成工事原価を正確に計上し、未成工事受入金や未成工事支出金を適切に処理することが求められます。また、仕訳の順番については、項目が一致していれば順番が逆でも問題ありません。

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