求人票と内定通知書で提示された給与条件に不一致がある場合、特に固定残業代の取り扱いに関しては、労働契約上の重要な問題となります。以下では、固定残業代の法的要件と、企業が遵守すべき明示義務について解説します。
固定残業代の法的要件
固定残業代を賃金に含める場合、以下の3点を明示することが求められます。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
- 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
これらの情報は、求人票や雇用契約書に明示する必要があります。明示が不十分な場合、労働者は固定残業代の支払いを受けられない可能性があります。
求人票と内定通知書の不一致による法的リスク
求人票で固定残業代が含まれていると明記されているにもかかわらず、内定通知書で「残業代別途支給」と記載されている場合、労働条件の不一致が生じます。このような場合、企業は労働条件の変更について労働者に明示し、同意を得る義務があります。明示がない場合、労働者は固定残業代の支払いを受けられない可能性があります。
企業の対応とリスク管理
企業は、固定残業代制度を導入する際、以下の点に留意する必要があります。
- 固定残業代の金額と対象時間数を明確に定め、就業規則や雇用契約書に記載すること
- 固定残業時間を超える時間外労働について、追加で割増賃金を支払う旨を明示すること
- 労働者に対して、固定残業代制度の内容を十分に説明し、同意を得ること
これらの対応を怠ると、労働者からの未払い残業代の請求や、労働基準監督署からの指導・助言を受ける可能性があります。
まとめ
求人票と内定通知書で提示された給与条件に不一致がある場合、特に固定残業代の取り扱いについては、労働契約上の重要な問題となります。企業は、固定残業代制度を導入する際、法的要件を遵守し、労働者に対して十分な説明と同意を得ることが求められます。これにより、労働条件の不一致によるトラブルを防止し、適切な労働環境を維持することができます。