建設業経理士1級の原価計算でよく登場する「先入れ先出し法」の戻りについて、特に戻り処理のタイミングや計算方法に悩んでいる方も多いかと思います。この記事では、戻りの計算方法やその考え方を分かりやすく解説します。実際の問題を例に挙げ、具体的な手順を示していきます。
1. 先入れ先出し法とは?
先入れ先出し法(FIFO)は、最初に仕入れたものが最初に出庫されるという方法です。この方法では、在庫管理やコスト計算において、最初に購入した材料や商品が最初に消費され、残りは新しいものから消費されていくという流れになります。
例えば、建設現場での資材管理では、古い資材を先に使うことで、劣化や無駄を防ぎ、コスト管理を行いやすくします。この方法は、在庫の回転率を意識した管理が求められる場面で非常に有効です。
2. 戻りの計算とは?
戻りの計算とは、出庫した資材が不正確であった場合に、その分を調整する処理です。戻りは基本的に「出庫分の数量を減らす」という考え方です。たとえば、7日に出庫した分から戻りが10個発生した場合、その10個を別の日の出庫から引く形で調整します。
ここで注意したいのは、戻りを適切に反映させるタイミングです。戻りは、出庫から遅れて発生する場合が多いため、戻りが発生した日にはその日に対応した処理をすることが重要です。問題のケースでは、18日に戻りが発生し、その分を計算する必要があります。
3. 戻りの計算のタイミングと処理
問題で言及されている「7日の消費分から10個をマイナスする」という部分ですが、これは出庫時点で使用した数量に影響を与える部分です。しかし、18日の戻り処理はその時点での在庫調整として行われます。つまり、7日の出庫分に対する影響を18日に反映させるために、戻り分の10個を18日の処理として計算することになります。
簡単に言うと、18日に発生した戻り10個は、7日に消費された分から引かれるのではなく、18日の処理において新たに計算される形となるため、その計算を行わないと正確なコスト計算にはなりません。
4. 例えを使って理解する
例えば、7日に100個の資材を消費したとしましょう。もしその後、10個が不良品として戻ってきた場合、この10個は18日に調整する形になります。戻り処理をするためには、18日の計算でその10個の分を新たに引く必要があるのです。戻りが7日に発生したわけではなく、18日の時点でその影響を受けるので、計算を行う必要があるのです。
このように、戻り分の計算は「出庫分から戻りを引く」だけでなく、実際に戻りが発生した日や在庫処理を行う日を正確に把握することが重要です。
5. まとめ
先入れ先出し法における戻りの処理は、確かに難しく感じるかもしれませんが、ポイントは「戻り分は実際に発生した日(今回は18日)で計算を行う」ということです。過去の出庫分に対して直接マイナスをするのではなく、戻りが発生した日を基準にその分を計算します。この点をしっかりと理解すれば、戻りの計算に自信が持てるようになるはずです。