個人事業から法人成りした場合、役員報酬や退職後の各種手続きに関して、労働者としての権利が十分に反映されていないことがあります。特に、役員として名ばかりの存在となった場合、実際の仕事内容とのギャップから、労働条件や福利厚生の問題が発生することもあります。この記事では、役員報酬とその影響、退職時の手続きについて、失業手当や建退共（建設業退職金共済）の適用を解説します。
名ばかり役員としての労働条件と権利
法人成り後、役員として名前だけを載せる場合、従業員としての権利が制限されることがあります。特に、役員報酬が支払われている場合、実際の労働内容や従業員としての権利が十分に保障されないケースもあります。例えば、現場作業員としての実態がありながら、役員報酬で給与が支払われている場合、これが労働者としての権利を受ける障害になることがあります。
名ばかり役員の場合、解雇や退職金、失業手当の支給に影響を与える可能性があるため、役員報酬が支払われているにも関わらず、実質的には労働者としての立場を主張することが難しくなることもあります。
失業手当の受給資格と役員報酬の関係
失業手当を受け取るためには、労働者としての扱いが必要です。役員報酬を受けている場合、役員としての職務に従事していると見なされるため、失業手当が支給されない場合があります。特に、名ばかり役員の場合、その役職が実際の仕事とは異なる場合、労働者としての認定が難しくなり、失業手当が支給されないことがあります。
実際に、名ばかり役員であっても、労働契約が存在する場合や実際に現場作業をしている場合、失業手当が受けられることもありますが、これはケースバイケースであり、商工会や労働基準監督署での確認が重要です。
建退共の適用と役員報酬
建退共（建設業退職金共済）は、建設業従業員が退職金を受け取るための共済制度です。従業員が現場で働いた場合、その期間に応じて退職金が支払われる仕組みです。しかし、名ばかり役員として扱われる場合、建退共の適用が難しくなることがあります。特に、役員が現場作業をしていたとしても、その報酬が役員報酬として支払われていると、建退共の適用が除外されることがあります。
退職金に関しても、役員報酬を受けている場合、退職金が支払われないケースが多くなります。これに対して、適用条件を確認し、退職時に必要な手続きを行うことが大切です。
労働契約書と労働者としての権利
労働契約書は、雇用関係を証明する重要な書類です。契約書に基づいて、従業員としての権利が保障されますが、役員として名ばかりであった場合、その契約書が労働者としての権利を保証していない場合があります。労働契約書に記載された内容と実際の勤務条件が異なる場合、そのギャップについて法的な対応が必要になることもあります。
また、役員報酬が支払われているにも関わらず、労働者としての権利が行使できない場合、労働基準法に基づいてその権利を取り戻す手続きを行うことが必要です。
まとめ
名ばかり役員として働く場合、実際の労働条件や権利に関して問題が生じることがあります。特に、失業手当や建退共の適用に影響を与える可能性があるため、退職時には労働契約書や役員報酬の取り決めを確認し、必要な手続きをしっかりと行うことが重要です。もし、自身の状況に不安がある場合は、専門家に相談し、適切な対応を検討することをお勧めします。
