近年、河川の堤防や堤防上の道路(堤防道)が整備されることがあり、一見「広くて交通量も少ないから自転車でも安心」と思われがちですが、実は自転車での夜間走行やスピード走行には思わぬ危険が伴います。本記事では、堤防道の構造・実情、そして夜間スピードを出した際のリスクについて、関係資料をもとに整理します。
堤防道とはそもそも何か ― 用途と性質
堤防道は、河川の増水時の flood control(洪水防止)や堤防の点検・管理、災害対応などを目的とした道路であり、歩行者や軽車両、管理車両が通行する前提の道です。([参照]({“href”:”https://cycle-hokkaido.jp/wp-content/uploads/2022/11/01_Attention-Users-of-levee-and-riverbank-roads.pdf”}))
そのため、いわゆる「自転車や歩行者のための自転車道」ではなく、舗装や車線・歩道の整備、夜間照明、ガードレールなどの安全対策が充分ではないことも多く、一般道路とは性質が異なります。
堤防道の危険性 ― 夜間・スピード走行はなぜ危ないか
実際に、夜間の堤防道路で発生した交通事故例があります。例として、岐阜県の堤防道路を夜間に走行していた自転車が後続の車両に追突され死亡した事故が報告されています。([参照]({“href”:”https://www.think-sp.com/2018/02/02/yakanoteibou/”}))
堤防道の多くはガードレールが整備されておらず、また道路が平坦で単調になりやすいため、夜間はカーブや路面の変化が見えにくく、スピードを出した走行では非常に危険です。([参照]({“href”:”https://www.think-sp.com/2019/07/17/tw-yakan-teiboudouro/”}))
「落とし穴のような道」の意味 ― 道の構造上の盲点
堤防道は本来「管理・防災用」の道であり、定期的な整備や舗装が行われていても、たとえば排水口、水抜き溝、凸凹、遮蔽構造、急なカーブ、草木や土の堆積部などがあり、「見た目以上に危険な構造」を持つ可能性があります。こうした“穴”や“段差”は、自転車のスピード走行時に避けきれず、転倒や重大な事故につながりやすいのです。実際、前述の注意喚起資料にも「堤防道はサイクリング用ではない」「轍・くぼみ・バリケード等がありうる」と記載されています。([参照]({“href”:”https://cycle-hokkaido.jp/wp-content/uploads/2022/11/01_Attention-Users-of-levee-and-riverbank-roads.pdf”}))
夜間スピードでの走行は“回避”できるか ― 非現実的なリスク管理
仮に自転車でスピードを出していたとして、「すべての落とし穴や障害物を避ける」というのは非常に難しい状況です。特に夜間は視界が制限され、路面の状態を把握する余裕が少なくなります。
また、多くの堤防道では街灯や路面照明が不十分、あるいはまったくない場合もあります。こうした状況下では、人間の反応時間や制動距離を超える速度での走行は、たとえ注意していても危険を回避しきれない可能性が高いため、「夜間スピードを出しても安全とは言えない」のが現実です。
ではどうすべきか ― 安全に堤防道を使うためのポイント
- 堤防道を使うなら、夜間は避けるか、どうしても使うなら「歩行者/自転車モード」でゆっくり走る。
- ライトを強力なものにし、目の前の路面状況を十分に照らす。
- 万が一に備え、速度を抑え、ガードレールや路肩の有無、カーブの有無に注意。
- 可能なら、公道(歩道や自転車道)の利用や、安全が確認されたルートを使う。
結論 ― 堤防道でスピードを出すのは非常に危険で現実的ではない
結論として、河川堤防道は本来「防災・管理用」であり、自転車専用道ではありません。夜間かつスピード走行で「安全かつ確実に落とし穴のような道を避ける」というのは、かなり高いリスクと不確実性を伴います。
特に「夜間スピード」は、自転車側の努力だけでは安全性を確保しきれないため、そもそも避けるべき行為といえるでしょう。


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