一都三県の建設業界では、新築・改修・解体工事のいずれでもブローカー企業が関与するケースが少なくありません。適切な知識を持っておくことで、発注側・施工側どちらにとってもトラブルを回避しやすくなります。本記事では、ブローカーが生まれやすい背景や工事種別ごとの傾向を整理し、実務で役立つ視点を紹介します。
建設業におけるブローカー企業とは
建設業で言うブローカー企業とは、実際の施工能力がない、または著しく不足しているにもかかわらず、現場を元請・下請に紹介して中間マージンを得る事業者を指します。建設業許可を持たないケースもあり、契約や責任の所在が曖昧になりやすい点が特徴です。
例えば、元請からの依頼を受けたA社が、実際の工事をB社へ丸投げし、さらにB社がC社に外注するような多重構造は、典型的なブローカー介在の例と言えます。
一都三県でブローカーが発生しやすい背景
首都圏では建設需要が高いため、各業者が人手不足に直面しがちです。この不足を埋めるため、紹介料ビジネスとしてブローカーが介在しやすい状況になっています。また、短工期・低予算の案件が多いことも理由のひとつです。
実例として、繁忙期に解体業者が職人を確保できず、日当を上乗せした職人をブローカーを通じて調達するケースが挙げられます。このような構造が根強いことがブローカー比率を押し上げています。
新築工事におけるブローカー比率の目安
新築工事では大手ゼネコンが多く関わるため、比較的管理が行き届いていますが、それでも一次・二次下請以降になるとブローカーが入る可能性があります。目安としては、一都三県では全工程の1~2割程度にブローカー企業が関与すると言われています。
特に内装や設備工事など、小規模分野では職人手配のためにブローカーが入るケースが多い傾向があります。
改修工事におけるブローカー比率の目安
改修工事は案件ごとの規模がまちまちで、現場入りする職人も工期ごとに流動します。そのため、新築よりブローカー介入率が上がりやすい傾向があります。一般的には2~3割ほどの現場で何らかのブローカーが関与していると言われています。
例えば、店舗の短期改修などでは「翌日人手が必要」といった急な要望が発生するため、ブローカー経由の職人確保が頻繁に行われています。
解体工事におけるブローカー比率の目安
解体工事は特に人手不足が深刻で、ブローカーが最も入りやすいと言われる業種です。一都三県では3~4割程度がブローカー経由の取引になることも珍しくありません。
解体は重機手配・廃材処理・人力作業が混在するため、外部からの手配が多くなる構造が影響しています。
ブローカー企業と関わる際のリスク
ブローカーを通じた取引は、契約書の不備や追加請求、工期遅延などにつながる可能性があります。特に建設業許可を持たない業者が介在する場合、トラブル時の責任追及が難しくなることが最大のリスクです。
実際に「紹介しただけで責任は負わない」というスタンスのブローカーも存在し、元請・下請ともにリスクを背負うケースがあります。
ブローカー介入を避けるための対策
信頼性の高い業者と継続的に取引し、紹介元に建設業許可の有無を確認することが最も効果的な対策です。また、工事契約書・注文書を明確に作成し、元請・下請の関係を可視化しておくことも重要です。
人手不足の場合には、協力会社を広げつつ複数のルートで職人を確保することで、ブローカー依存を減らすことができます。
まとめ
一都三県では、新築・改修・解体のいずれでもブローカー企業が一定割合で存在します。特に解体工事は介入率が高く、改修工事でも職人調達の関係から増えやすい傾向があります。ブローカーを完全に避けることは難しいものの、業者選定を慎重に行い、契約を明確にすることでリスクを最小限に抑えることができます。


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