「自衛隊の初任給がアップするそうです。高卒で自衛官候補生として…初配属の初任給が2士という位となるのですか?2士より低い階級って無いのですか?」「山に遠征したら残業代はどうなるの?訓練時間は何時から何時まで?」という疑問に答えるべく、階級・初任給・勤務体制・残業の扱いなどを整理した記事です。
入隊から2士任官までの流れと階級区分
まず、高卒者が〈自衛官候補生〉として採用された場合、入隊直後に3か月程度の基礎教育(部隊配属前研修)を受ける区分があります。([参照]マイナビ・自衛官候補生募集要項)
この期間中は正式な階級として「2士(にとう・りくし等)」任官前の候補生扱いであることが多く、正式な任官を受けて“2士”となることで階級付き隊員として支給対象となる初任俸が適用されるケースがあります。([参照]宮城県公式:給与等データ)
なお「2士より低い階級が無いか」という点については、自衛官候補生としての訓練期間中は階級表示が明確に“2士未満”として付くわけではなく、候補生区分として「自衛官候補生」扱いとなるため、実質的には“2士が最下級階級”と捉えられます。
2025年度改定による初任給の引き上げ内容
防衛省発表によると、2025年度(令和6年度)から若年層の処遇改善を図るため、初任給等が引き上げられています。([参照]防衛省 給与改正案内)
具体的には、高卒で2士任官後の俸給月額が「198,800円」から「224,600円(+25,800円/+13.0%)」、自衛官候補生期間中が「157,100円」から「179,000円(+21,900円/+13.9%)」へと改定されています。
初任給224,600円は多い?民間との比較と手取りの実態
高卒で初任給224,600円という数字は一見「かなり多い」と感じられるかもしれませんが、ここには各種手当・家賃負担軽減・寮制度などが背景にあります。([参照]キャタプルト・キャリア:自衛官の年収と手取り)
例として、候補生期間中・任官直後は寮住まいや部隊生活が多く、住居・光熱・食費が含まれ、実質可処分所得が民間若年層と比較して優位になるとする見方もあります。一方で、勤務環境・勤務地・任務の過酷さなど“条件”を踏まえて考える必要があります。
勤務時間・残業・訓練期間中の扱い
自衛隊員の勤務時間・訓練体制は、一般企業の9時〜18時という枠に収まらないことが多いです。訓練・演習・山岳行動・夜間警戒等では早朝起床・深夜戻り・休日勤務が発生します。
ただし「残業代固定制か?」については、求人案内等で「固定残業制度は採用しておりません」と明記されているケースがあります。([参照]HR‑Hacker:募集要項 給与・勤務時間)
つまり、訓練や演習への参加・夜間・休日勤務には別途手当(特殊勤務手当・時間外勤務手当・休日勤務手当)などが適用される仕組みがある一方で、全隊員が毎回“残業代”を時間換算で受け取るかどうかは、任務内容・部隊・規程により異なります。
配属・任務・任期制の基本と初任給との関係
高卒で自衛官候補生から2士に任官後、任期制(例えば陸上自衛隊では2年・海上・航空では3年等)で勤務するケースがあります。([参照]宮城県:給与等データ)
任期満了後には、続けて勤務継続・民間企業への再就職・大学進学などさまざまな進路が選べます。任期制の中で“初任給や住居手当・一時金”などが設けられているため、「3か月間の訓練期間」「2士任官」「任用一時金344,000円支給」といった構成が求人要項に記載されています。([参照]マイナビ:募集要項)
まとめ
まとめると、高卒で自衛官候補生として入隊し、数か月の教育期間後に2士に任官という流れは実務上ほぼ定型化しています。2士任官後の初任給は224,600円という新基準が公示されており、2士より低い階級は候補生期間中の区分であるため“階級としては2士が最下級”と整理できます。
勤務時間・残業・訓練体制については、民間企業とは大きく異なる勤務環境があるため「基本9時〜18時」「残業代が必ず出る」と考えるのは誤りです。訓練・演習・夜間・休日勤務においては別途手当が支給される場合があるため、説明会・募集資料で具体的な条件を確認することをおすすめします。


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