企業から内定を得た際、前年度の職歴を複数ある中で「一社だけ」に偽って提出されたとのこと。そのような職歴詐称が「扶養控除（異動）申告書」などでバレるのか、どんなリスクがあるのかを整理し、今後の選択肢も含めて解説します。
職歴詐称とは何か？法律と実務の観点から
〈職歴詐称〉とは、履歴書や職務経歴書、面接時あるいは内定承諾段階において、実際の勤務先・在籍期間・雇用形態などを偽る行為を指します。([参照]経歴詐称とは｜成立要件と問われる罪・逮捕された場合の対処法)
日本の判例・法務資料によると、職歴詐称そのものが直ちに刑事罰となるわけではないものの、詐称内容が「重要な経歴」であったり、企業に対して不当な利益を得た場合には、詐欺罪・私文書偽造罪などの対象となる可能性があります。([参照]経歴詐称がバレたらどうなる？詐称の項目や損害賠償について解説)
「扶養控除（異動）申告書などでバレるか？」という問いへの整理
提出書類の中で職歴そのものを直接照会される機会は通常少ないです。ただし、勤務先が納税・保険等で情報を提出しているため、次のようなケースで両者の差異から疑義が生じることはあります。
例えば、複数企業で勤務していたのに「一社だけ」と記入・申告した場合、健康保険・雇用保険・住民税の控除手続きなどで「前年度分の給与支払報告書」が市区町村や税務署に提出され、社名・年収・雇用先が把握される可能性があります。このため、将来的に「実際には複数社に在籍していた」という事実が判明することもゼロではありません。
職歴詐称が発覚した場合の企業対応と法的リスク
企業側が職歴詐称を把握した場合、代表的な対応としては〈内定取り消し〉や〈懲戒解雇〉が挙げられます。([参照]経歴詐称を理由に懲戒解雇できる？注意点や対応方法を裁判例付き・・・)
具体的には、詐称された経歴が採用・人事上の重大な判断基準だった場合、裁判所でも「採用条件を偽った」という信頼関係の破壊を理由に解雇が有効と判断された事例があります。([参照]経歴詐称｜弁護士法人ロア・ユナイテッド法律事務所)
対策と今からできること—誠実な対応のすすめ
まず、職歴を正確に記載することが最善策です。仮に過去の職歴を複数社経験していたとしても、どのような期間・雇用形態・職務であったかを整理し、履歴書・職務経歴書を作成することをおすすめします。
もし既に提出済みである場合でも、内定承諾前であれば速やかに就職先の人事担当者に訂正・報告することがリスク軽減につながります。特に「虚偽の申告が発覚し、企業に損害を与えた」と認識される前に、自ら誠実な姿勢を示すことが望ましいです。
まとめ
職歴を一社に偽って提出することは、直ちに罰則が科せられるとは限らないものの、内定取り消し・懲戒解雇・社会的信頼の失墜など重大なリスクを伴います。また、扶養控除（異動）申告書などを通じて完全に「バレない保証」があるわけでもありません。
将来のキャリアや信頼性を守るためにも、「職歴を正しく記載する」「疑義を抱かれそうな記載があれば訂正を検討する」という誠実な対応をとることが最も安全で、有効な選択肢です。
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