部門別個別原価計算における実際配賦の計算方法について、特に実際配賦率の計算や製造間接費の配賦に関する疑問を解決するための解説記事です。今回は、部門別計算を行わず、工場全体で1つの配賦率を用いて実際配賦を行った場合について詳しく説明します。
部門別個別原価計算とは?
部門別個別原価計算は、製造コストを部門ごとに分けて計算する方法です。これにより、各部門のコストを明確に把握し、効率的な管理を行うことができます。製造間接費は部門ごとに割り当てられ、配賦率を使ってそれぞれの部門に配賦されます。
ただし、部門別計算を行わない場合、工場全体で1つの配賦率を使って計算することもあります。この方法では、各部門の実際作業時間に基づいて、製造間接費を一律に配賦する形となります。
実際配賦率の計算方法
実際配賦率は、製造間接費を合計作業時間で割ったものです。具体的には、以下のように計算します。
1. **製造間接費の合計**: 1,264,000円
2. **実際作業時間の合計**: 第1製造部門 4,200時間 + 第2製造部門 2,200時間 = 6,400時間
3. **実際配賦率**: 1,264,000円 ÷ 6,400時間 = 197.5円/時間
製造指図書№1に配賦される製造間接費
次に、指図書№1にかかる製造間接費を計算します。指図書№1の直接作業時間は、以下の通りです。
1. **第1製造部門の直接作業時間**: 1,000時間
2. **第2製造部門の直接作業時間**: 800時間
合計: 1,000時間 + 800時間 = 1,800時間
この直接作業時間に実際配賦率を掛け算します。
197.5円 × 1,800時間 = 355,500円
つまり、指図書№1に配賦される製造間接費は355,500円です。
部門別計算を行わない場合の勘定連絡図と実際配賦率
部門別計算を行わない場合、実際作業時間は工場全体の合算となります。これにより、各部門ごとの作業時間が勘定連絡図でどこに位置しているのかが重要です。工場全体で1つの配賦率を使用するため、実際作業時間は部門を問わず、全体の作業時間に基づいて配賦されます。
そのため、勘定連絡図では、部門ごとに区分されるのではなく、合算された作業時間として扱われます。配賦率はこの合算時間を基に計算され、各部門に配賦されることになります。
まとめ
部門別個別原価計算で実際配賦を行う際、部門ごとに作業時間を計算する方法と、工場全体で1つの配賦率を使用する方法があります。実際配賦率は製造間接費を実際作業時間で割ったものとして計算され、計算の流れを理解することで、実際にどのように配賦されるのかが明確になります。勘定連絡図での位置付けや配賦率の計算方法をしっかりと把握し、実務に活かしていきましょう。

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