労災による後遺障害認定の流れと注意点：左母指の切創事故に関するケース

労災による後遺障害認定について、特に左母指の切創事故を例にとり、認定にかかるプロセスや注意点を解説します。事故後、可動域制限や知覚障害が生じた場合、適切な等級認定を受けるために知っておくべきことを整理してみましょう。

1. 労災後遺障害の等級認定

労災事故後、後遺障害の認定を受けるためには、事故の内容と症状に基づいた評価が行われます。左母指のIP関節やMP関節の可動域制限がある場合、それぞれに応じた等級が適用されます。一般的に、可動域制限のある部位に関しては、その制限度合いによって等級が決定されます。

例えば、左母指IP関節の屈曲が90度に対して35度に制限されている場合、可動域の制限度が1/2に相当するとして、等級は10級6号に該当する可能性があります。また、神経障害（知覚障害）についても併合等級が考慮されます。

2. 等級の併合について

後遺障害の併合については、同一部位の異なる症状が認定される場合、重い等級が適用されるというルールがあります。たとえば、IP関節の可動域制限と神経障害（知覚障害）によってそれぞれ10級6号および14級9号の等級がつけられた場合、最終的に併合等級は9級になる可能性があります。

このように、複数の後遺障害が同一部位に関連する場合は、最も重い等級を1段階上げて併合等級を適用するのが一般的です。

3. 診断書と医師の意見

労基医の診断書において、主治医が記載した可動域の数値が反映されている場合、その数値を基に認定が行われます。通常、労基医は主治医の意見を尊重し、適切な評価を行うため、診断書に記載された内容が影響します。

また、診断書には「局部に神経障害を残す」といった記載がある場合、それが後遺障害の認定において重要な役割を果たします。特に知覚障害が認められる場合、その影響がどの程度かを示す評価が必要となります。

4. 認定までの期間と自分の認識の確認

後遺障害の認定には通常、診察後から数週間から数ヶ月程度の期間がかかります。自分の症状や可動域の数値から判断する限り、適切な等級を申請することは可能ですが、認定には時間がかかることを理解しておくことが重要です。

もし認定に関して疑問があれば、専門のアドバイザーや弁護士に相談して、より詳細な見解を得ることができます。自分の認識が正しいかどうかを確かめ、最適な行動を選ぶことが後悔を避けるために重要です。

5. まとめ

左母指の切創事故に関する後遺障害認定は、可動域制限と神経障害が主な評価基準となります。等級認定の過程では、可動域や症状に対する評価が行われ、複数の症状が重なった場合には併合等級が適用されます。認定までの期間は一定の時間がかかるため、焦らずに状況を見守りながら、必要に応じて専門家に相談することが推奨されます。