顧客から受け取った約束手形を裏書譲渡し、仕入先への支払いに回した場合、キャッシュフロー計算書での取り扱いが問題になることがあります。特に、売掛金と買掛金が両方減少する形で、実際には現金が動いていないのにキャッシュフローが発生するように見えるため、このような取引の調整が必要になることがあります。この記事では、その調整方法と実務上の対応について解説します。
キャッシュフロー計算書の基本
キャッシュフロー計算書は、現金の流れを示す重要な財務諸表で、営業活動、投資活動、財務活動の3つのカテゴリーに分けてキャッシュの流れを把握します。営業活動によるキャッシュフローは、企業の日々の取引に関わる現金の流れを反映します。売掛金や買掛金の変動も、キャッシュフロー計算書に影響を与える要素となります。
特に売掛金や買掛金の減少は、通常、現金の支払いや受け取りに関連しますが、今回は現金を使わずに約束手形を裏書譲渡する形で支払いを行っているため、実際のキャッシュフローには影響がないという点が重要です。
約束手形の裏書譲渡とキャッシュフロー計算書の影響
顧客から受け取った約束手形を裏書譲渡して仕入先への支払いに回す場合、実際の現金の流れは発生していませんが、売掛金と買掛金の両方が減少します。このような場合、キャッシュフロー計算書には調整が必要です。
売掛金が減少した一方で、買掛金が減少したことをそのまま反映させると、実際の現金の流れとは一致しないため、営業活動によるキャッシュフローが誤って計上される可能性があります。このため、調整項目を追加して、現金の実際の流れを正確に反映させる必要があります。
調整方法:間接法と直接法
キャッシュフロー計算書を作成する方法には、「間接法」と「直接法」があります。間接法では、税引前当期純利益を起点として、営業活動によるキャッシュフローを計算し、売掛金や買掛金の増減、非現金取引などの調整項目を反映させます。今回のような裏書譲渡を行った場合、売掛金と買掛金の減少額を調整項目として加算または減算し、実際のキャッシュフローを正確に示すことができます。
一方、直接法では、営業活動からの現金の収入と支出を直接計上します。この方法では、現金の実際の出入りを示すため、売掛金や買掛金の減少については直接的な影響を反映させることはありませんが、裏書譲渡による影響を調整する必要があります。
新しい監査人の指摘を受けての対応
新しい監査人からの指摘で、キャッシュフロー計算書上で売掛金と買掛金の減少について調整を行うべきだと言われた場合、その指摘に従うことが求められます。調整を行うことで、実際の現金の動きと一致する形でキャッシュフローが反映され、財務諸表がより正確なものになります。
監査人の指摘に従って調整を行うことで、誤解を招くことなく、キャッシュフロー計算書の信頼性を高めることができます。また、調整方法については、税理士や会計士と相談し、適切な処理を行うことが重要です。
まとめ:キャッシュフロー計算書の調整が重要
約束手形の裏書譲渡による仕入先への支払いは、キャッシュフロー計算書において調整が必要です。売掛金と買掛金の減少が現金の流れに伴っていない場合、調整項目として追加することによって、実際のキャッシュフローを正確に反映させることができます。監査人の指摘を受けて適切に調整を行い、キャッシュフロー計算書を正確に作成しましょう。


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