創業11年の会社を経営しているオーナー社長にとって、役員報酬の設定と会社の純資産の増加は重要な経営判断となります。現在、会社の業績が順調に推移している中で、どちらを優先すべきかについてアドバイスを求める声があります。この記事では、役員報酬を上げることと会社の純資産を増やすことのメリット・デメリットを比較し、今後の戦略について考察します。
1. 会社の純資産を増やすことのメリット
会社の純資産を増加させることは、事業の安定性や将来の成長を支えるために非常に重要です。現在、自己資本比率が80%であることは、非常に強固な財務基盤を持っていることを示しています。純資産を増やすことで、企業はより多くの資金を事業投資に充てることができ、万が一の経済的な不況や予期しない事態に対する耐性を強化できます。
また、将来的に設備投資の予定がない場合、利益を内部留保して純資産を増加させることは、企業価値を高めるための手段となります。特に、売却や子供への事業承継を考えている場合、安定した財務状態が企業の価値を上げるために有利に働くでしょう。
2. 役員報酬の増加による経営者自身のメリット
一方で、役員報酬を増やすことには経営者自身のモチベーション向上や生活水準の改善が期待できます。現在の役員報酬が8000万円であることは、すでにかなり高額ですが、もし企業の成長に貢献しているのであれば、さらに報酬を増加させることも一つの選択肢です。
また、役員報酬の増加は、経営者自身が会社の業績に対してより強い責任を感じるため、企業全体のパフォーマンス向上にも繋がることがあります。しかし、過度な報酬増加は、社員の不満を招いたり、株主の信頼を失うリスクがあるため、バランスが重要です。
3. 税務面での考慮事項
役員報酬を増加させることで、個人の税負担が増加する可能性があることも留意すべき点です。高額な役員報酬に対しては、所得税や住民税が高くなるため、税務面での対策が必要です。報酬の増加が税務上のリスクを高める可能性があるため、税理士と相談の上で慎重に進めるべきです。
また、役員報酬の増加が企業の経営にどのような影響を与えるかについても、長期的な視点で評価することが大切です。役員報酬が過度に高くなると、企業の利益が圧迫され、株主や取引先との信頼関係に影響を与えることがあります。
4. 結論: 役員報酬と純資産の増加、どちらを優先するべきか
最終的に、役員報酬の増加と会社の純資産の増加をどのようにバランスを取るかは、経営者自身の価値観や企業の未来に対するビジョンに依存します。もし将来的に事業承継や売却を考えているのであれば、まずは純資産の増加を優先し、安定した財務基盤を築くことが重要です。
一方で、役員報酬を増やすことで経営者自身のモチベーションや生活の質が向上し、結果的に企業全体の成長にも繋がる可能性があるため、適切なタイミングでの報酬増加を検討することも大切です。
最終的な決定は、経営者自身の価値観や会社の将来の方向性をしっかりと見据えて行うことが重要です。
コメント