製造間接費の操業度差異と予算差異の計算方法と解説

工業簿記2級の試験において、製造間接費の操業度差異や予算差異を計算する際、実際操業度の予算額の求め方について混乱することがあります。特に「基準操業度における予算額を実際操業度の予算額とする」とはどういう意味か、どのように計算すれば良いのかという点について詳しく解説します。

1. 予算差異と操業度差異の基本的な考え方

製造間接費の予算差異は、予定していた製造間接費と実際に発生した製造間接費との違いです。操業度差異は、予定していた作業時間や生産量と、実際の作業時間や生産量との差による影響を表します。この2つの差異を明確に把握することで、製造間接費の管理がより正確に行えます。

予算差異と操業度差異を求めるために必要なデータは、年間の予算額や予算配賦基準となる時間、実際の作業時間などです。これらのデータを元に、差異を計算します。

問題文における「基準操業度における予算額を実際操業度の予算額とする」という指示は、実際の作業時間に基づいた予算額を計算する方法です。実際操業度の予算額は、実際の作業時間（ここでは590時間）に基づいて計算するのではなく、基準となる操業度における予算額を基にして、実際の予算額を調整します。

例えば、基準操業度における予算額は年間予算額（14,760,000円）を基に、基準となる作業時間（年間予定直接作業時間7,200時間）で割った単価を求め、その単価を実際の作業時間（590時間）に掛け合わせる方法です。

問題文の例では、年間予定直接作業時間が7,200時間、年間予算額が14,760,000円です。この場合、基準操業度における予算額の単価は以下のように求められます。

単価 = 14,760,000円 ÷ 7,200時間 = 2,050円/時間

この単価を実際の作業時間（590時間）に掛け合わせて、実際操業度の予算額を求めます。

実際操業度の予算額 = 590時間 × 2,050円 = 1,209,500円

予算差異と操業度差異は、実際発生額と予算額の差を求めることで計算できます。問題文では、実際発生額が1,244,000円であり、予算額は1,209,500円です。この場合、予算差異は以下のように計算されます。

予算差異 = 実際発生額 – 予算額 = 1,244,000円 – 1,209,500円 = 34,500円（借方）

また、操業度差異は、実際の作業時間と基準作業時間の差による影響です。この場合、操業度差異は次のように計算されます。

操業度差異 = 実際操業度の予算額 – 基準操業度の予算額 = 1,244,000円 – 1,209,500円 = 34,500円（借方）

製造間接費の差異計算では、基準操業度における予算額を実際操業度の予算額とする考え方が重要です。これにより、実際の作業時間に基づく予算額を求め、予算差異と操業度差異を計算することができます。計算方法を理解し、問題文に即した解法を実践することで、より効果的に簿記2級の試験対策ができます。