板金焼き付け塗装において、色見本と実際の塗料が異なる場合に直面することがあります。このような問題に対処するためには、色調整の方法やΔE(色差)の基準を理解することが重要です。今回のケースでは、黄色みを足すことで明度が上がるという問題が指摘されていますが、他にどのような点を考慮すべきでしょうか。
1. ΔEと色差の基準について
ΔE(デルタE)は、2つの色の差を定量的に表現するための指標で、色差がどれほど感じられるかを数値で示します。一般的にΔE値が0.5未満だと目視での差はほとんど感じられないとされています。今回のケースでΔEが0.97であれば、目視で確認してみると色味の違いがわかる場合もありますが、基準としては許容範囲内ともいえるでしょう。
2. 黄色みを足すと明度が上がる理由
塗料の色調整を行う場合、黄色を加えることで色味が暖かくなり、明度が上がる可能性があります。明度とは色の明るさを示すもので、黄色が多く含まれると色が明るく感じられます。これは、色相環上で黄色が明度が高い位置にあるためです。お客様が黄色みが足りないと感じる理由も、この明度に関係している可能性があります。
しかし、明度が上がることで色が薄く見える場合もあるため、色味の調整には慎重な対応が求められます。
3. 塗料屋さんとのコミュニケーション
塗料屋さんが指摘しているように、色味を調整する際に明度が上がることを避けるためには、どの色の成分を足すかが重要です。黄色を足す場合でも、他の色(例えば赤や茶色など)と組み合わせることで、明度の上昇を抑えることができます。この点を塗料屋さんとしっかりと確認し、調整方法を決定することが重要です。
4. 目視判断と色のデータ解析のギャップ
目視による色調整とデータ解析(ΔEなど)にはしばしばギャップが生じます。目視では微細な違いが気になることがありますが、ΔEの基準に基づくとそれが許容範囲内であることもあります。これは、色の感覚が個人差に影響されるためです。したがって、実際の色の調整においてはデータと目視をバランスよく使うことが求められます。
5. まとめ
今回のケースにおいて、色の調整は明度の上昇や色味の変化に影響を与える可能性があります。黄色みを足すことによって明度が上がる点に注意しつつ、データ分析(ΔE)をもとに調整を進めることが重要です。また、塗料屋さんとのコミュニケーションをしっかりと行い、どの成分を加えるかの選択肢を検討することが最適な結果を生むでしょう。
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