連結会計において、親会社が子会社株式を追加取得したり、売却した場合、どのように仕訳処理を行うかは重要なポイントです。特に、追加取得時における資本剰余金の扱いや、売却時におけるその他有価証券評価差額金の組替調整について疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは、連結会計の仕訳処理に関する疑問を解消し、理解を深めるために解説します。
子会社株式の追加取得時の仕訳
子会社株式を追加取得した際、親会社はその取得分をどのように仕訳すべきかが問題になります。まず、非支配株主持分や子会社株式の取得金額を借方、貸方に振り分け、差額を資本剰余金に計上します。重要なのは、親会社の貸借対照表において、追加取得分の子会社の「その他有価証券評価差額金」を計上しない点です。この処理は、親会社が取得した株式の評価損益を分けて計上するため、別途評価差額金を記録する必要がないためです。
子会社株式売却時の仕訳
一部の子会社株式を売却する際の仕訳も複雑です。この場合、売却額に基づき、子会社株式、子会社株式売却益、その他有価証券評価差額金を計上します。また、売却後の非支配株主持分の減少も適切に反映させる必要があります。しかし、売却に伴って減少したその他有価証券評価差額金は、通常、包括利益計算書には組替調整の対象とならないため、注意が必要です。
評価差額金が組替調整されない理由
評価差額金が組替調整の対象にならない理由は、評価差額金の調整が「売却」と「評価損益」の間で異なる取り扱いがなされるからです。売却時の評価差額金については、評価損益が親会社の決算に即時反映されるため、包括利益計算書で組替調整を行わず、別途処理します。この点が、売却後に評価差額金を調整しない理由です。
まとめ
連結会計における子会社株式の追加取得や売却は、仕訳の処理が複雑であり、適切に処理しないと誤った会計報告を引き起こす可能性があります。追加取得時には親会社の貸借対照表において評価差額金を計上せず、売却時には非支配株主持分の変動を含めた適切な仕訳を行うことが重要です。評価差額金の組替調整についても理解しておくことで、より正確な連結会計処理が可能になります。
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