射出成形において、肉厚6ミリのコップ形状部品でショートショットが発生する原因とその対策について解説します。特に、壁面と内部で最大30mmの差が生じる現象に焦点を当てます。
ショートショットとは?
ショートショットは、射出成形時に溶融樹脂が金型のキャビティ全体に充填されず、一部が欠けた状態で成形される不良です。これは、樹脂の流動が途中で停止または固化することによって発生します。
発生原因とそのメカニズム
肉厚が均一でない場合、樹脂は厚い部分から充填されます。薄い部分では流動が早く、早期に冷却・固化が進み、最終的な充填が困難になります。これにより、内部が「置いていかれた」ような状態が生じます。
対策方法
1. 成形条件の最適化
- 樹脂温度の調整:樹脂温度を上げることで流動性を向上させ、充填性を改善します。
- 金型温度の調整:金型温度を適切に設定し、樹脂の冷却速度を均一に保ちます。
- 射出速度の調整:射出速度を適切に設定し、樹脂の流れをスムーズにします。
- 保圧の設定:保圧を適切に設定し、充填後の樹脂の収縮を補います。
2. 金型設計の見直し
- ゲート位置の最適化:ゲートの位置を見直し、樹脂の流れを最適化します。
- ランナー設計の改善:ランナーの設計を見直し、樹脂の流れを均一にします。
- 冷却系統の見直し:冷却系統を見直し、金型内の温度分布を均一に保ちます。
3. 材料の選定
高流動性の樹脂材料を選定することで、充填性を向上させ、ショートショットの発生を抑制できます。
まとめ
肉厚が均一でないコップ形状の部品でショートショットが発生する主な原因は、樹脂の流動が途中で停止または固化することです。これを防ぐためには、成形条件の最適化、金型設計の見直し、材料の選定が重要です。これらの対策を講じることで、ショートショットの発生を抑制し、品質の高い製品を生産することが可能です。
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