連結決算において税効果会計を適用する際、Deferred Tax Asset(DTA)やDeferred Tax Liability(DTL)の親会社帰属か子会社帰属かを判断するのは、複雑な問題です。適切な判断基準を理解することは、正確な決算処理に欠かせません。この記事では、DTAやDTLがどのように親会社と子会社に帰属するかを解説します。
税効果会計とは?
税効果会計は、企業の税務上の負担を会計上の利益に反映させるための会計処理です。企業の会計上の利益と税務上の利益が異なる場合、将来にわたってその差額を調整するためにDTAやDTLを計上します。これにより、税務負担が適切に財務諸表に反映されます。
この税効果会計の処理は、連結決算においても重要です。親会社と子会社の間で税効果をどう処理するかについては、判断基準を正しく理解しておく必要があります。
DTA(繰延税金資産)とDTL(繰延税金負債)の意味
DTA(繰延税金資産)は、将来、税金の支払いが減少することを意味する資産です。DTL(繰延税金負債)は、将来、税金の支払いが増加することを意味する負債です。これらは、企業が現在の会計基準に従って支払うべき税金の額と、実際に支払う税金の額の差を反映するものです。
連結決算において、これらの項目が親会社と子会社にどのように帰属するかを判断することが求められます。
DTAとDTLの帰属先の判断方法
DTAおよびDTLの帰属先は、基本的には税務上の実態に基づいて判断します。具体的には、次のような基準で判断することが多いです。
- 親会社がその税効果の利益を受ける場合:親会社帰属
- 子会社がその税効果の利益を受ける場合:子会社帰属
連結決算の際には、親子会社間で税効果をどのように取り扱うかをしっかりと判断し、DTAやDTLをどちらに帰属させるべきかを見極める必要があります。
実務での判断例
例えば、親会社が子会社の株式に対する評価差額の税効果を持っている場合、このDTAは親会社に帰属します。一方、子会社が将来の税務上の利益を享受する場合は、そのDTAは子会社に帰属することになります。
また、親会社と子会社間の内部取引に関連する税効果の仕訳については、その取引がどのように連結決算に影響を与えるかに応じて、DTAやDTLがどちらに帰属するかを判断することが求められます。
まとめ
連結決算における税効果会計の仕訳処理では、DTAやDTLの帰属先を親会社か子会社かで判断することが重要です。基本的には、税務上の利益を享受する側に帰属させることが原則ですが、実務においてはさまざまな要素を考慮する必要があります。税効果の仕訳を正確に行うためには、親子会社間の実態に基づいた判断が不可欠です。


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