移動平均法による在庫原価計算の手順と注意点

簿記

在庫の原価計算において、移動平均法はよく使われる方法の一つです。特に、仕入れや販売が複数回行われる場合、どのように計算を進めるべきか、そして計算結果が正確かどうかを確認することが大切です。本記事では、移動平均法を使った在庫原価計算の手順と、実際のケースにおける注意点を解説します。

移動平均法の基本的な計算方法

移動平均法では、在庫の単価が仕入れや販売ごとに変動し、取引ごとに新しい平均単価が計算されます。具体的には、期首残高に加え、仕入れた商品の金額を総額で加算し、その後新たに仕入れた商品数を加えて平均単価を算出します。

販売時には、算出された平均単価を使って売上原価を計算します。仕入れや販売、返品などの取引が発生するたびに、計算された平均単価をもとに再計算が行われ、在庫原価が変動します。

実際の計算例:商品の仕入れと返品を考慮した場合

例として、商品Xについて移動平均法で原価計算を行う場合を考えてみましょう。以下は具体的な取引のフローです。

  • ①期首の在庫10個、平均単価550円
  • ②5月1日、商品Xを10個500円で仕入れ
  • ③5月2日、商品X3個を販売
  • ④5月3日、仕入れた商品5個を返品
  • ⑤5月4日、販売した商品1個が返品される

これらの取引が行われた際、どのように計算するのかを順を追って見ていきます。

手順ごとの計算方法

まず、②の取引では仕入れ時に新たな平均単価を計算します。

仕入れ後の計算式は次のようになります。

((10×550)+(10×500))/(10+10)=525

つまり、移動平均単価は525円となります。

次に、③の販売時ですが、販売時の計算はすでに決まった平均単価525円を使用します。この時、販売原価は525円×3個となります。

④の返品時、返品を行った分の仕入れ単価を考慮して再度平均単価を計算します。計算式は次の通りです。

((17×525)+(−5×500))/(17−5)=515

したがって、返品後の新しい平均単価は515円になります。

最後に、⑤の返品ですが、この返品に関してはすでに決まった単価525円をそのまま適用します。

計算の整合性と注意点

移動平均法で在庫原価を計算する場合、返品などが発生した際に注意しなければならない点があります。返品が発生すると、計算される平均単価が変動するため、次回の計算に影響を与えます。

特に、仕入れと返品の間に販売がある場合、平均単価がどのように計算されるかが不明確になりがちですが、返品後の再計算をしっかりと行うことで、正確な原価計算を行うことができます。

まとめ

移動平均法を使用した在庫原価計算は、仕入れ、販売、返品などの取引ごとに適切に平均単価を再計算することが求められます。仕入れ→販売→返品といった一連の取引において、平均単価がどのように変動するのかを理解し、正確に計算することが非常に重要です。上記のように、返品が発生した場合でも、その影響を正しく反映させることで、在庫原価の計算が適切に行えます。

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