内部取引における未実現利益の処理方法と仕訳の考え方

会計、経理、財務

簿記の世界では、企業グループ内で行われた取引については、内部取引として処理する必要があります。特に、子会社間での取引や売買においては、未実現利益が発生することがあります。本記事では、内部取引における未実現利益の処理方法と、売却益の消去や仕訳の考え方について解説します。

未実現利益とは?その仕訳方法について

未実現利益とは、企業間の取引で生じた利益が、実際には外部の第三者に対して実現されていない場合に発生する利益です。例えば、グループ内の売買で利益が計上されていても、その利益が外部取引先に対して実現していなければ、その利益は未実現利益として計上されることになります。

内部取引において未実現利益が生じた場合、その利益は連結財務諸表において消去する必要があります。なぜなら、グループ内で利益が発生しても、グループ全体としてはその利益が実現したわけではないからです。

P社とS社間の売買における未実現利益の消去

例えば、P社がS社に簿価100の土地を150で売却した場合、P社は売却益50を計上しますが、この利益はS社が第三者に売却して初めて実現します。したがって、内部取引で発生した売却益50は連結財務諸表で消去する必要があります。

S社がその土地を外部の第三者に200で売却した場合、この200の売却益は第三者に対する実現利益となり、P社からS社への内部取引で発生した未実現利益は消去されません。

未実現利益の消去に関する仕訳

P社からS社への土地売却における未実現利益50を消去するための仕訳は以下のようになります。

  • 借方:固定資産売却益50
  • 貸方:土地50

この仕訳によって、内部取引における利益が消去され、グループ全体の財務諸表には影響を与えません。その後、S社が土地を第三者に売却した際、S社の売却益は実現利益として計上されます。

実現利益と未実現利益の違いとその処理

実現利益と未実現利益の最大の違いは、その利益が外部に対して実現されたかどうかです。内部取引で発生した利益は、グループ外の第三者に対して売買が成立し、実際に利益が得られた場合にのみ「実現利益」として計上されます。

未実現利益が残っている状態でその利益を計上すると、グループ全体の財務状況が不正確に報告されることになります。このため、未実現利益は連結財務諸表上で消去され、実現利益としての正しい報告が求められます。

まとめ

内部取引における未実現利益は、グループ内で発生した売却益を連結財務諸表で正しく処理するために消去する必要があります。P社とS社の事例では、売却益が内部取引内で発生した場合、その利益は外部取引先への売却が実現するまで消去され、実現利益が計上されます。これにより、グループ全体の財務諸表は正確なものとなります。

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