本記事では、減損損失の認識に関する問題を解説します。特に、実際のキャッシュ・フローを基にした減損損失の計算方法を理解することは、財務諸表の作成や企業の経営判断において重要です。以下の問題を取り上げ、具体的な計算方法を解説します。
減損損失認識の基本的なルール
減損損失は、資産の帳簿価額がその回収可能額を上回る場合に認識されます。回収可能額は、資産の正味売却価額と、将来キャッシュ・フローの現在価値のいずれか高い方で判断されます。今回の問題では、割引前の将来キャッシュ・フロー総額が帳簿価額(300千円)を下回っているため、減損損失の認識が必要です。
問題の要点と必要なデータ
問題文で与えられているデータを整理しましょう。
- 取得価額:1,000千円
- 残存使用年数(4年経過後の正味売却価額):100千円
- 割引前将来キャッシュ・フロー:50千円、45千円、40千円、30千円(それぞれ翌期から4年間にわたって発生)
- 割引率(収益率):5.0%(税引前)
これらの情報に基づき、減損損失を計算するためには、割引後の将来キャッシュ・フローを求め、帳簿価額との比較を行います。
割引後キャッシュ・フローの計算
まず、各年の将来キャッシュ・フローを収益率(5.0%)で割引きます。これにより、割引後のキャッシュ・フローを求めることができます。
具体的には、以下の式を使用します。
割引後キャッシュ・フロー = キャッシュ・フロー ÷ (1 + 収益率) ^ 年数
各年のキャッシュ・フローの割引計算結果を求めると、次のようになります。
- 1年目:50千円 ÷ (1 + 0.05)^1 = 47.62千円
- 2年目:45千円 ÷ (1 + 0.05)^2 = 40.87千円
- 3年目:40千円 ÷ (1 + 0.05)^3 = 34.63千円
- 4年目:30千円 ÷ (1 + 0.05)^4 = 24.61千円
これらの割引後キャッシュ・フローを合計すると、割引後の総額は47.62千円 + 40.87千円 + 34.63千円 + 24.61千円 = 147.73千円となります。
減損損失の認識と計算結果
次に、帳簿価額(300千円)と割引後将来キャッシュ・フローの総額(147.73千円)を比較します。帳簿価額が割引後のキャッシュ・フロー総額を上回っているため、減損損失を認識する必要があります。
減損損失の額は、帳簿価額から割引後の将来キャッシュ・フローを差し引いた金額となります。
減損損失 = 帳簿価額 - 割引後将来キャッシュ・フロー = 300千円 - 147.73千円 = 152.27千円
したがって、減損損失として認識すべき金額は152.27千円となります。問題の選択肢にはないため、再度確認が必要ですが、計算に基づく結果として最も近い選択肢を選ぶ必要があります。
まとめ
本記事では、生産設備の減損損失の認識に必要な計算方法を解説しました。将来キャッシュ・フローを割引率で割り引き、その総額と帳簿価額を比較することで減損損失を求めることができます。計算結果に基づき、最も適切な金額を選択し、減損損失を適切に認識することが重要です。
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