建設業経理士試験の仕訳問題では、収益認識基準や工事原価の計算方法が問われることがよくあります。この記事では、特に「工事完成基準」を適用した際の収益認識と仕訳方法について、具体的な問題を例に解説します。
工事完成基準の収益認識
工事完成基準とは、工事が完成した時点で収益を認識する方法です。この基準を採用している場合、収益は工事が完成した瞬間に確定し、それに応じた収益計上を行います。つまり、工事が完了し、発注先に引き渡した時点で収益を認識します。
今回の質問では、工事の契約金額が¥1,000,000、見積総工事原価が¥800,000となっています。この工事が完成し、発注先に引き渡された段階で収益が確定することになります。
発生工事原価の計算と支払い方法
問題文では、当期に発生した工事原価が¥400,000であるとされています。支払い方法は、¥200,000を小切手で支払い、残りの¥200,000は約束手形で支払ったという内容です。この場合、発生した工事原価の支払いに関する仕訳も重要です。
支払い方法に関しては、小切手や手形で支払った場合、それぞれ適切な仕訳が必要です。例えば、小切手を使用した場合は、「現金預金」や「小切手」などの勘定科目を使い、手形を使用した場合は「支払手形」などを使います。
受注時の仕訳と収益認識のタイミング
この場合、受注した工事の契約金額が¥1,000,000であり、収益認識基準として工事完成基準を採用しているため、工事が完成して発注先に引き渡された時点で収益を認識します。
したがって、工事が完了した段階で以下のような仕訳を行います。
- 収益の計上:売上高 ¥1,000,000(借方)、売掛金 ¥1,000,000(貸方)
- 発生した工事原価の計上:売上原価 ¥400,000(借方)、仕入・支払手形など ¥400,000(貸方)
代金の支払いと逆仕訳について
問題文で「代金を支払っているので逆でしょうか?」という疑問がありますが、代金の支払いは収益認識後に行われるため、逆仕訳にはなりません。代金支払いのタイミングに合わせて、適切な仕訳を行います。
例えば、代金を受け取った時点で「現金」や「預金」勘定を使い、売掛金を相殺します。この場合、収益はすでに認識されており、代金の支払いと収益認識が直接関連しているわけではないため、逆仕訳とはなりません。
まとめ
建設業経理士試験の仕訳問題では、工事完成基準に基づく収益認識が求められます。受注した工事の収益は、工事完成時に認識され、その後の支払いに関しては適切な勘定科目を使用して仕訳を行います。問題文にある支払い方法に基づき、小切手や手形での支払いを適切に処理し、収益と費用を正確に反映させることが重要です。
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