有限会社で取締役が1名のみの場合の代表表記とゴム印作成の注意点

有限会社などの小規模法人では、取締役が1名のみというケースも少なくありません。その場合、登記簿上では「代表取締役」の記載がないこともあり、会社の事務処理や印鑑作成に関して疑問を持たれる方が多いです。本記事では、取締役1名の場合の代表者表記やゴム印作成の実務について詳しく解説します。

取締役1名＝会社の代表となる仕組み

有限会社において取締役が1名のみの場合、その取締役が会社を代表する立場となります。株式会社のように「代表取締役」という役職を必ず登記する必要はなく、登記簿には「取締役 ○○○」と記載されるのが一般的です。つまり、代表取締役の肩書きがなくても、その取締役が会社を代表する権限を持つことになります。

例えば登記簿に「取締役山田太郎」と記載されている場合、山田太郎氏が実質的に会社を代表して各種契約や銀行手続きを行うことができます。

ゴム印作成時には、会社名・所在地・代表者名を記載するのが一般的です。取締役が1名のみの場合、ゴム印には「取締役 ○○○」と表記するか、単に「○○○有限会社取締役 ○○○」とするケースが多く見られます。必ずしも「代表取締役」としなくても、登記簿通りの「取締役」で問題ありません。

ただし、銀行口座開設や取引先によっては「代表取締役」の表記を求められることもあるため、事前に使用用途を確認した上で作成すると安心です。

ゴム印や名刺で「代表取締役」と記載することはできますが、登記上の役職と異なる肩書を使用する場合には慎重さが求められます。誤解を避けるためには、登記簿上の表記（取締役）をそのまま用いるのが安全です。

例えば、契約書や重要書類に押印する際には、登記簿に記載された役職名と同一にすることが望ましいです。異なる肩書を使用すると、場合によっては法的効力に疑義が生じる可能性があります。

ある小規模の有限会社では、登記簿上は「取締役鈴木一郎」となっていたため、会社印のゴム印も「有限会社△△ 取締役鈴木一郎」と作成しました。その後、銀行での融資手続きの際に「代表取締役ではないのか」と確認を受けましたが、登記簿を提示することで問題なく手続きを完了できました。

このように、ゴム印の表記は登記簿と一致させることで、不必要なトラブルを防ぐことが可能です。

有限会社で取締役が1名のみの場合、その取締役が会社を代表する立場となり、登記簿には「取締役」と記載されます。ゴム印もその登記簿通りに「取締役」と表記するのが一般的であり、安全です。用途によっては「代表取締役」の表記を求められる場合もあるため、利用シーンを想定して適切に作成することをおすすめします。