調剤薬局で一人薬剤師として働くときの課題と対応策|有休取得・人員申請の実態

労働問題、働き方

調剤薬局で一人薬剤師(管理薬剤師)として勤務する場合、休暇が取りにくい、業務負担が偏る、人員配置が実態と異なるなどの問題を抱えやすいのが現状です。特に「応援が来ない」「有休が消化できない」「薬剤師数の申請に疑問がある」といった声は多くの現場で共通しています。この記事では、一人薬剤師として働く上での課題と、対応の方向性について解説します。

一人薬剤師の休暇取得の難しさ

薬剤師法上、薬局には必ず管理薬剤師が必要とされます。そのため、店舗に一人しか薬剤師がいない場合、管理薬剤師が不在になると営業ができないリスクがあり、休暇取得が難しくなります。

本来であれば複数店舗を運営している会社は、休暇時に他の薬剤師を応援として派遣する仕組みを整えるべきです。労働基準法上も有給休暇は労働者の権利であり、会社が一方的に拒否することはできません。

人員申請の「1.6人」とは何か

薬局開設時の届出では、従事する薬剤師の人数を届け出る必要があります。1.6人といった数値は「常勤換算人数」を示している場合が多く、1人がフルタイム、もう1人が非常勤として一部の時間だけ勤務するような体制を指します。

しかし実際に常勤薬剤師が1人しかいないのに、他店勤務者を名義だけ借りて申請しているのであれば、これは法的に疑義が生じる可能性があります。薬剤師の名義貸しは薬機法で禁じられており、最悪の場合は行政指導や処分の対象になることもあります。

現場での負担とリスク

一人薬剤師の環境では、日々40〜60枚の処方箋を処理しつつ、調剤・服薬指導・監査などを一手に担わなければなりません。責任は重く、長期的には心身に負担がかかります。

さらに有休を取得できず働き続ければ、疲労やモチベーション低下だけでなく、調剤ミスなど安全面のリスクにもつながります。これは薬剤師本人にとっても患者にとっても大きな問題です。

対応策としてできること

現状を変えるためには、以下のような対応が考えられます。

  • まずは会社に書面で有休取得を申請し、記録を残す
  • 労働基準監督署やハローワークに相談する
  • 薬剤師会や行政(保健所)に人員体制の不適切さを相談する
  • 転職活動を視野に入れて、より働きやすい薬局を探す

特に労働基準法に基づく有休取得は強い権利であり、会社が拒否し続けることは違法です。泣き寝入りせず、外部機関に相談することで改善につながる可能性があります。

実際の事例

ある薬剤師は一人勤務で有休を全く取れず、労基署に相談した結果、会社が代替薬剤師を配置する体制を整えざるを得なくなったケースがあります。また、別の事例では行政が実態と異なる薬剤師数の申請を指摘し、改善を命じたこともあります。

一人で悩み続けるよりも、記録を残して外部機関に相談することが有効であると分かります。

まとめ

調剤薬局で一人薬剤師として働く場合、有休未消化や人員申請の不透明さは深刻な問題になり得ます。現場を支える薬剤師自身が心身を壊してしまえば、患者にも影響が及びかねません。まずは権利を主張し、外部の相談機関も活用しながら、自分を守る行動を取ることが大切です。長期的に安心して働ける環境を選ぶために、転職を含めたキャリアの見直しも検討すべきでしょう。

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