個人経営の職場や小規模事業所では「暇だから休んで」「今日は早く上がって」といったシフトカットが発生することがあります。しかし、それが常態化し、給与補償がなかったり、雇用保険に加入させてもらえなかったりする場合は、労働法上の問題がある可能性があります。ここでは、シフトカットの適法性や雇用保険の加入義務について解説します。
シフトカットはどこまで許されるのか
労働契約で決められた労働時間は、原則として会社都合で一方的に減らすことはできません。シフト制であっても、勤務シフトが確定した時点で労働契約の一部とみなされるため、会社側の都合で削ることは契約違反になり得ます。
例えば「今日は暇だから3時間で帰って」と言われた場合、本来働くはずだった残りの時間分の賃金が支払われないのは不当な扱いです。これは労働基準法第26条(休業手当)の考え方に照らしても問題がある可能性があります。
雇用保険加入の条件
雇用保険は以下の条件を満たすと加入義務が発生します。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
質問のケースでは「週20時間以上勤務で学生ではない」とあるため、本来は雇用保険に加入できる条件を満たしています。加入していないのは、会社の手続き漏れか、意図的に加入を避けている可能性があります。
有給休暇がないのはおかしい
また、有給休暇(年次有給休暇)は雇用形態にかかわらず付与されます。パートやアルバイトでも、勤務開始から6か月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤していれば、労働日数に応じて有休が付与されます。有休がまったくないのは労基法違反です。
実際のトラブル事例
ある飲食店では「今日は暇だからシフト削る」と日常的に勤務時間を減らしていました。従業員が労基署に相談したところ、労働基準法違反として是正勧告が行われ、未払い賃金の補償が命じられた事例があります。
また、小売業の個人経営店で雇用保険に入れていなかったケースでは、従業員がハローワークに相談し、事業主に遡って加入手続きを行わせるよう指導された例もあります。
取るべき対応
泣き寝入りせず、自分の労働条件を守るためには以下の行動が有効です。
- 雇用契約書やシフト表を確認し、証拠として保管する
- 会社に雇用保険加入や有給休暇付与について説明を求める
- 改善されない場合は労働基準監督署やハローワークに相談する
一人で抱え込まず、労働者の権利を守るための公的機関を利用することが大切です。
まとめ
シフトカットによる給与不払い、雇用保険未加入、有休なしは「よくあること」ではなく、労働法違反の可能性が高い問題です。個人経営の職場であっても労働者の権利は保障されます。もし疑問を感じたら、労基署やハローワークへ相談し、適切な対応を求めることをおすすめします。
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