企業分析:損益計算書と貸借対照表からわかるROEやROAの計算方法

簿記

企業分析を行う際、損益計算書や貸借対照表をもとにROE(株主資本利益率)やROA(総資産利益率)などの指標を計算し、企業の業績や財務健全性を分析します。この記事では、与えられた損益計算書と貸借対照表のデータをもとにROEやROAを計算し、企業の現状を評価します。

損益計算書からわかる業績

損益計算書をもとに、売上高や売上原価、販売費などの各項目を見ていきます。売上高は450百万円、売上原価は335百万円、売上総利益は115百万円です。これらを見て、売上総利益率は以下のように計算できます。

売上総利益率 = (売上総利益 ÷ 売上高) × 100 = (115 ÷ 450) × 100 = 25.6%

これは、売上のうち約25.6%が売上総利益として残ることを示しています。また、販売費が120百万円であるため、営業利益は売上総利益から販売費を引いた額です。

当期純利益の分析

当期純利益は-5百万円となっており、これは会社が最終的に利益を上げられていないことを示しています。これには、販売費の増加やその他の経費が影響している可能性があります。

特に、前期と比べて当期純利益が-30百万円から-5百万円に改善していますが、依然として赤字であり、企業は利益を上げるための対策が必要です。

貸借対照表からわかる財務状態

貸借対照表を見て、企業の資産や負債、純資産の構成を分析します。流動資産200百万円、固定資産140百万円、総資産340百万円です。負債としては流動負債100百万円、固定負債80百万円、純資産160百万円が記載されています。

総資産に対する負債の割合を示す指標、自己資本比率は以下のように計算できます。

自己資本比率 = (純資産 ÷ 総資産) × 100 = (160 ÷ 340) × 100 = 47.1%

この自己資本比率は、企業が半分以上の資産を自社の資本で保有していることを示し、財務健全性が高いことが分かります。

ROE(株主資本利益率)の計算

ROEは、企業が株主資本をどれだけ効率よく活用して利益を上げているかを示す指標です。ROEは以下のように計算できます。

ROE = (当期純利益 ÷ 株主資本) × 100 = (-5 ÷ 160) × 100 = -3.125%

ROEがマイナスということは、株主資本に対して利益を上げていない状態を意味し、企業の業績が芳しくないことを示しています。

ROA(総資産利益率)の計算

ROAは、企業が総資産をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示します。ROAは以下のように計算できます。

ROA = (当期純利益 ÷ 総資産) × 100 = (-5 ÷ 340) × 100 = -1.47%

ROAがマイナスであるため、企業は総資産を効率的に使いこなせていないことがわかります。

借入金の状況

借入金は流動負債として100百万円、固定負債として80百万円の計180百万円となっています。これにより、企業は資金調達のためにかなりの負債を抱えており、今後の返済計画や金利負担が利益に影響を与える可能性があります。

特に短期借入金が多いため、短期間での返済が求められる可能性があり、資金繰りに注意が必要です。

まとめ

この企業は、売上や利益の面では課題を抱えており、ROEやROAがマイナスであるため、財務面でも改善が必要です。特に、借入金が多いことから、今後の返済や金利負担が企業の安定性に影響を与える可能性があります。財務改善に向けての戦略が急務であり、効率的な資産運用やコスト削減が求められます。

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