企業年金にはさまざまな種類がありますが、確定給付年金(DB)はその中でも特に注目される年金制度の一つです。しかし、近年では確定拠出年金(DC)が主流になりつつあり、確定給付年金を提供している企業は減少傾向にあります。この記事では、確定給付年金が企業福利厚生として普及している現状とその特徴について解説します。
確定給付年金(DB)とは?その特徴を理解しよう
確定給付年金(DB)は、将来受け取る年金額があらかじめ確定している年金制度です。企業が従業員に対して一定額の年金を支給することが約束されており、安定的な老後生活を支えるための重要な制度です。
例えば、従業員が定年を迎えた後に毎月一定額の年金を受け取ることができるため、収入の不安定さを軽減することができます。しかし、企業がそのための資金を積み立てる必要があるため、企業側にとっては大きな負担となることもあります。
確定給付年金が減少している理由
確定給付年金の提供は、企業側にとって負担が大きいことから、近年ではその提供を縮小または廃止する企業が増えています。特に、企業の経営が不安定な場合や、長期的な年金資金を確保することが難しい場合には、確定拠出年金(DC)に移行するケースが多く見られます。
確定拠出年金は、企業が掛金を支払い、従業員がその資金を自分で運用する仕組みです。運用結果によって年金額が変動するため、企業側にとっては負担が軽減され、従業員にとっても運用の自由度が増します。
確定給付年金がある企業は依然として存在
確定給付年金を提供している企業は減少しているものの、依然として一部の大手企業や老舗企業などではこの制度を提供しています。特に、金融機関や大企業、または一部の公的機関では、従業員の福利厚生として確定給付年金を採用していることがあります。
たとえば、大手製造業や一部の地方自治体などでは、確定給付年金を制度として維持しており、安定した老後資金の確保を提供しています。しかし、これらの企業も経営環境や法制度の変化に応じて、制度を見直すことが求められる場合があります。
企業年金の選択肢:確定拠出年金(DC)との比較
確定給付年金と並んで多くの企業で導入されているのが確定拠出年金(DC)です。この制度では、企業が定期的に掛金を支払い、その掛金を従業員自身が運用します。運用結果によって年金額が変動するため、従業員は自己責任で資産運用を行うことになります。
確定拠出年金の最大の利点は、企業側の負担が少なく、制度の柔軟性が高い点です。運用の自由度があり、資産形成の方法を選択できるため、自分のライフプランに合わせた運用が可能です。しかし、その一方で運用結果に応じて将来の年金額が変動するため、計画的に運用を行うことが求められます。
まとめ
確定給付年金(DB)は、企業年金の中でも安定した年金額を提供する制度として重要ですが、企業側にとっては負担が大きく、そのため確定拠出年金(DC)に移行する企業が増えています。しかし、大手企業や公的機関などでは依然として確定給付年金を提供している場合もあります。企業年金を選択する際は、確定給付年金と確定拠出年金の違いを理解し、自分にとって最適な選択をすることが大切です。
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