簿記二級の試験で貸借対照表(B/S)を作成する際、商品勘定の金額の算定方法について混乱することがあります。「実地棚卸数量×正味売却価額」と「帳簿棚卸数量×原価-棚卸減耗損-商品評価損」の違いについて、具体的に解説します。
商品勘定の金額を求める2つの方法
商品勘定の金額は、実地棚卸や帳簿棚卸に基づいて算出します。具体的には、以下の2つの方法があります。
- 実地棚卸数量×正味売却価額:実地棚卸を行った後、実際の数量に対してその商品の販売可能な金額を掛けて算出します。
- 帳簿棚卸数量×原価-棚卸減耗損-商品評価損:帳簿上の棚卸数量を基に、商品の原価から棚卸減耗損や商品評価損を差し引いて金額を算出します。
これらは商品勘定の金額を計算する際に用いられますが、適用される状況や目的に応じて使い分ける必要があります。
実地棚卸数量×正味売却価額
「実地棚卸数量×正味売却価額」は、実際に倉庫や店頭で棚卸を行い、その結果に基づいて商品の金額を算出します。ここで重要なのは「正味売却価額」です。これは、販売価格から販売にかかる費用を差し引いた金額であり、最終的に売れる可能性のある金額を反映します。
この方法は、実際に販売する商品の価値を反映させるため、在庫が実際にどれくらいの金額で売れるかを見積もるために使用されます。
帳簿棚卸数量×原価-棚卸減耗損-商品評価損
一方、「帳簿棚卸数量×原価-棚卸減耗損-商品評価損」は、帳簿上で記録されている数量に基づいて金額を算出します。ここでは、原価を基に算出され、棚卸減耗損や商品評価損が差し引かれます。
棚卸減耗損は、商品の損失や劣化による減少を反映したもので、商品評価損は市場価格が下がった場合に適用されます。この方法は、商品が売れる前に価値が減少した場合に、実際の価値をより正確に反映するために使用されます。
両者の違いと使用場面
両者の違いは、「実地棚卸数量×正味売却価額」が実際の在庫数量とその販売価値に基づいて計算されるのに対し、「帳簿棚卸数量×原価-棚卸減耗損-商品評価損」は、帳簿上の数量を基にして、価値の減少分を差し引いた金額を算出する点です。
どちらの方法を選ぶかは、企業が求める財務報告の精度や目的によって異なります。実地棚卸が重要な場合や市場の動向を反映させたい場合は、「実地棚卸数量×正味売却価額」が有効です。一方で、帳簿上での評価を重視したい場合や在庫が古く、損失が発生している場合は、「帳簿棚卸数量×原価-棚卸減耗損-商品評価損」が適しています。
まとめ: 商品勘定の金額算出方法を理解する
商品勘定の金額を算出する方法には、実地棚卸を基にした「実地棚卸数量×正味売却価額」と、帳簿棚卸数量を基にした「帳簿棚卸数量×原価-棚卸減耗損-商品評価損」があります。両者は目的に応じて使い分ける必要があり、それぞれの方法が適用される状況を理解することが大切です。
簿記二級の勉強において、これらの違いをしっかりと理解し、試験に備えた準備を行いましょう。
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