工業簿記での仕損品評価額の算定方法について疑問を持たれている方が多いです。特に、正常仕損品の評価額の計算方法で、なぜ加工進捗度を使わず、正常仕損品実在数量のみを使うのかという点は、理解が難しいかもしれません。本記事では、仕損品評価額を計算する際のポイントとその理由について詳しく解説します。
1. 仕損品評価額の計算方法
工業簿記における仕損品評価額の計算方法では、通常、仕損品の評価額単価を正常仕損品の実在数量に掛け算して算出します。例えば、仕損品の評価額単価が207円で、正常仕損品数量が200個の場合、評価額は207円×200個=41,400円になります。
この計算で使われる「正常仕損品実在数量」は、実際に存在している仕損品の数に基づいています。一方で、加工進捗度が示されている場合でも、加工進捗度は計算に含まれません。
2. 加工進捗度を使わない理由
加工進捗度が示されている場合でも、仕損品評価額の計算で加工進捗度を使わない理由は、仕損品評価額が最終的に完了した状態の評価額を基準にしているからです。正常仕損品は、最終的に完成した製品として扱うため、加工進捗度は評価額の算定には影響を与えません。
仕損品がまだ加工中である場合、完成品としての評価額が確定していないため、加工進捗度を反映することなく「実在数量」に基づく評価を行います。このため、正常仕損品の数量に207円という評価額単価を掛ける形になります。
3. 正常仕損品と実在数量の関係
「正常仕損品実在数量」とは、加工中の仕損品の中で実際に発生した仕損品の数を指します。これに対して、正常仕損品の「加工換算数量」は、加工の進捗状況を反映して、仕損品の発生具合を加味した理論的な数量になります。しかし、仕損品評価額の計算では、実際に発生した仕損品の数量が最も重要であるため、加工進捗度は考慮されません。
このようにして、評価額は現実に発生した仕損品の数量に基づいて決まります。これが、工業簿記での仕損品評価額算定の基本的なアプローチです。
4. まとめ
仕損品評価額の計算で「加工進捗度」を使わない理由は、最終的に完成品として扱うため、進捗度が未完成の状態では評価が不確定だからです。したがって、実際に発生した「正常仕損品実在数量」を使用して評価額を算定することが正当な方法とされています。
工業簿記におけるこの仕損品評価額の計算方法を理解することで、簿記試験や実務での仕損品評価を正確に行うことができます。
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