日商簿記1級の設備投資意思決定問題において、CF図(キャッシュ・フロー図)を作成する際、設備の処分見込額や残存価額をどのように処理するかは重要なポイントです。特に、処分見込額と残存価額に関して混同しやすい点があります。この記事では、この2つの項目の違いや、それぞれの税区分をどのように扱うべきかについて解説します。
設備投資意思決定問題でのCF図作成
設備投資の意思決定において、CF図は設備投資の収益性や投資回収期間を判断するために非常に重要です。CF図には、設備の購入から処分までの流れをキャッシュ・インフローとキャッシュ・アウトフローに分けて記載します。
特に設備の処分見込額や残存価額をどのように反映させるかは、問題文に記載された条件によって異なります。CF図を作成する際には、売却額や残存価額がキャッシュフローに与える影響を適切に反映させる必要があります。
処分見込額と残存価額の違い
処分見込額と残存価額は、設備を売却した際に得られる金額を指しますが、微妙に異なります。処分見込額は、設備を売却する際に予想される価格であり、通常は設備の残存価額にプラスアルファの金額を加算した額になります。
一方、残存価額は、設備が使用可能な期間を経過した後に残る予測価値を指し、通常は取得原価の一定割合(例えば10%)として設定されます。つまり、残存価額はその設備の最終的な価値を意味し、処分見込額はその価値に売却時の利益を加えた額です。
CF図における処理方法の2パターン
設備投資のCF図において、処分見込額と残存価額をどのように計算するかは、問題文の条件によって異なります。問題文の指示に従って、以下の2つのパターンで処理を行います。
- ①設備の処分見込額のみを、その年のCIFとして計算する場合。
- ②設備の残存価額のみを、その年のCIFとして計算する場合。
それぞれのパターンでキャッシュ・インフローをどのように計上するかを理解することが大切です。
パターン①:設備の処分見込額をCIFとして計算
このパターンでは、設備を売却した際に得られる金額をその年のキャッシュ・インフロー(CIF)として計算します。処分見込額は、売却時に実際に得られる金額であり、予想よりも高い金額が得られる場合もあります。
この方法では、設備の取得原価や耐用年数、減価償却の計算を考慮し、売却益を反映させたキャッシュフローを計算します。
パターン②:設備の残存価額をCIFとして計算
残存価額をキャッシュ・インフローとして計算する場合、設備を売却した後に得られる金額は残存価額の範囲内となります。残存価額は、設備が使用可能な期間終了後に残る価値であり、この金額をCIFとして処理します。
この場合、残存価額は通常、設備の取得原価の一定割合(例えば10%)として設定されるため、予測値として計算されます。
残存価額と処分見込額の違いに関する誤解
処分見込額と残存価額に関して、混乱しがちな点がありますが、最も重要なのは、それぞれが意味する金額の違いを理解することです。残存価額は設備の価値を示すものであり、処分見込額はその価値に追加の金額を加えたものです。
そのため、残存価額に+αされた金額が処分見込額となり、処分見込額をCF図に反映させる場合は、その額をキャッシュ・インフローとして計上することになります。
まとめ
日商簿記1級の設備投資意思決定問題において、処分見込額と残存価額の違いを理解し、それぞれを適切にCF図に反映させることが重要です。処分見込額は設備の最終的な売却金額を示し、残存価額は設備の価値として計算されます。問題文に従って正しい税区分で処理することが、効率的な投資意思決定に繋がります。
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