中途採用時の前職調査が違法とされる理由とは？

中途採用の際、企業側が前職の在籍確認や退職理由、素行調査を行うことが一般的に行われることがありますが、これが法律的に問題になることがあります。特に、候補者の同意なしに勝手に情報を調べることが違法となる理由について、ここではその背景と具体的な法的根拠を解説します。

個人情報保護法とプライバシーの権利

企業が応募者の前職や個人情報を調査する際に、最も重要な法律は個人情報保護法です。個人情報保護法では、個人のプライバシーを守るために、第三者による無断での情報収集を禁止しています。企業が採用活動で個人情報を収集する場合、候補者の同意を得る必要があります。

したがって、就職活動中に企業が応募者に無断で前職の情報を調べることや、退職理由、素行などを勝手に確認することは、個人のプライバシーを侵害する行為として違法になる可能性があります。

企業が応募者に対して適切な同意を得ずに情報を調査した場合、その調査が違法であると見なされることがあります。例えば、前職の勤務先に無断で連絡を取って在籍確認を行うことや、過去の勤務態度を調査することは、応募者のプライバシーを侵害する行為となり、法的措置を取られる可能性もあります。

また、このような情報収集が不正であった場合、企業が採用した後に雇用契約が無効となる場合もあり、採用活動が信用問題に発展することもあります。

採用活動において合法的に情報を収集するためには、応募者から明確な同意を得ることが基本です。例えば、採用選考を行う際に「前職の確認を行う場合がある」という旨を事前に通知し、応募者に同意を求めることが求められます。

また、履歴書や職務経歴書に記載された内容が正確であることを確認する目的で、企業が在籍確認や職歴確認を行うこと自体は合法です。ただし、この確認作業を行う際にも、応募者からの事前同意を取ることが必要です。

中途採用において前職の調査や素行調査を行うことは、適切な手続きを踏むことで合法的に行うことができますが、応募者の同意なしに行うことはプライバシーの侵害にあたり、違法とされる可能性があります。企業は採用活動を行う際に、応募者からの同意を得ることを徹底し、法的リスクを避けるようにしましょう。