ドワンゴ事件(特許第6526304号)における知財高裁および最高裁の判決は、システムクレームの解釈において重要な示唆を与えています。特に、サーバの送受信処理を国外に配置し、それ以外の処理を国内に配置する場合の取り扱いについては、特許法上の「生産」に該当するか否かが争点となりました。
イ号システムの配置とシステムクレームの対応
イ号システムが、サーバの送受信処理のみを国外に配置し、判別処理やコメントの位置調整などの処理を国内に配置する場合、知財高裁および最高裁は、システム全体として日本国内で「生産」が行われていると判断しました。これは、サーバと端末がネットワークを介して接続され、全体としてまとまった機能を発揮するシステムの発明における「生産」として、特許法2条3項1号に該当すると解釈されたためです。
国外配置要素の追加と判決結果への影響
仮に、イ号システムがサーバの送受信処理のみならず、判別処理やコメントの位置調整の処理等も国外に配置した場合でも、知財高裁および最高裁は、システム全体として日本国内で「生産」が行われていると評価しました。具体的には、ユーザ端末が各ファイルを受信した時点で、サーバとユーザ端末はインターネットを利用したネットワークを介して接続されており、ユーザ端末のブラウザにおいて動画上にコメントをオーバーレイ表示させることが可能となるため、全ての構成要件を充足する機能を備えたシステムが新たに作り出されたと判断されました。
まとめ
ドワンゴ事件における判決は、システムクレームの解釈において、サーバの配置場所だけでなく、システム全体としての構成要素の配置や機能の発揮場所を総合的に考慮する重要性を示しています。特許権の効力が及ぶ範囲を明確にするためには、システムの構成要素の配置や機能の発揮場所を詳細に検討することが求められます。
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