原価計算で使用される語呂合わせ「とまひしか」は、特に先入先出法や工程別原価計算の問題に取り組む際に、工程を整理して把握するための暗記法として知られています。本記事では、この語呂の意味や使い方、減損処理との関係まで、体系的に解説します。
「とまひしか」の語呂合わせの意味
「とまひしか」とは、以下の言葉の頭文字をとったものです。
- と:投入(当月投入)
- ま:月末仕掛品
- ひ:引く月初仕掛品
- し:仕掛品(通常は「月初」または「仕掛品」と表記)
- か:完成品
ただし、「とまひしか」には順番のバリエーションがあり、「当月+月末 − 月初 = 完成品」という流れを頭に入れておくと本質が理解しやすいです。
この語呂は、工程別原価計算で数量を把握するときに有効で、完成品数量を求めるときに使われる式の一種です。
「とまひしか」で完成品数量を求める方法
工程別原価計算では、次のような数量式が基本です。
完成品数量 = 当月投入 + 月末仕掛品 − 月初仕掛品
この式を覚えやすくするために、「とまひしか」の語呂が使われます。以下のように具体的に当てはめます。
- と(当月投入):800個
- ま(月末仕掛品):200個
- ひ(月初仕掛品):100個
- しか(完成品):完成品数 = 800 + 200 − 100 = 900個
このように、「とまひしか」の語呂は数量の流れを整理するのに非常に便利です。
減損(ロス)を含むケースの考え方
減損やロスがある場合、「とまひしか」の公式にその分の調整を加える必要があります。
たとえば、製造途中で100個のロスが出た場合。
完成品数量 = 当月投入 + 月末 − 月初 − 減損
このロスの数量が正常減損か異常減損かによって原価の扱いも変わります。
減損も含めた語呂合わせの応用は「とまひしかろ(ロ=ロス)」などで補足される場合もあります。
語呂に頼るだけでなく理解を深めよう
語呂合わせは記憶を助けるものですが、本質を理解しないままでは応用力が付きません。
例えば、単に「完成品を出す式」だと覚えるのではなく、「なぜ月初を引いて月末を加えるのか」「なぜ当月投入がベースになるのか」など、工程の流れを図で書き出してみるとより理解が深まります。
講義や問題集の中でも「Tフォーム」や数量スケジュールの図示などが役立ちます。
実際の試験問題での応用例
日商簿記2級や全経上級などでは、工程別原価計算の数量把握や減損処理に関する問題が出題されます。
例題。
- 月初仕掛品:100個
- 当月投入:1,000個
- 月末仕掛品:300個
- 減損:50個
完成品数 = 1,000 + 300 − 100 − 50 = 1,150個
このように計算して、仕掛品と完成品の原価配分を進めていきます。
まとめ:語呂と本質理解のバランスがカギ
「とまひしか」は、原価計算の数量整理に役立つ語呂合わせです。試験や実務での処理において、まずは語呂で構造を覚え、その上で意味や式の背景を理解することが合格・理解の近道です。
減損がある場合は、「とまひしか」にロスの調整を加えることで対応可能です。語呂だけに頼らず、実例で確認しながら習得していきましょう。
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