簿記3級の減価償却における累計減価償却の借方処理について解説

簿記

簿記3級でよく出題される減価償却における「累計減価償却」の処理について、特に備品を売却した際の借方処理に関する質問がよくあります。この記事では、なぜ累計減価償却を借方に記入するのか、その理由と仕訳についてわかりやすく解説します。

減価償却と累計減価償却の基本

まず、減価償却とは、企業が保有する固定資産(備品など)の価値が使用や時間の経過によって減少していくことを記録するための会計処理です。減価償却の費用は、毎年一定額を経費として計上し、固定資産の帳簿価額が減少していきます。

累計減価償却は、減価償却の累積額を表す勘定科目です。すなわち、毎年の減価償却費用が累積された合計額を示しています。この勘定は、貸方に記入され、固定資産の帳簿価額とともに確認されます。

備品を売却した際の借方処理の意味

質問で挙げられているように、備品を売却した際に累計減価償却を「借方」にする理由について理解するためには、まず売却処理の仕訳を理解することが大切です。売却する際、備品の売却額を記録するだけでなく、既に計上している減価償却分を調整する必要があります。

売却する備品に関して、これまでの減価償却の累積額を借方に記入するのは、売却した備品の帳簿価額をゼロにするためです。累計減価償却は貸方に記載されており、その金額を借方に記入することで、売却による減価償却分が帳簿上で打ち消される仕組みになります。

「打ち消す」という意味とは

「打ち消す」という表現が使われる理由は、売却した備品の価値を帳簿上でゼロにするために、これまで計上してきた減価償却の累積額を借方で消去するという意味です。売却時には、売却した資産の帳簿価額(購入価格-累計減価償却額)を計算し、それを基に仕訳を行います。

この処理を行うことで、売却後にはその資産の帳簿価額が正確に反映され、利益または損失を計算することができます。つまり、累計減価償却を借方にすることで、売却した備品の価値が帳簿上でリセットされるわけです。

実際の仕訳例

では、実際に備品を売却した場合の仕訳を例にとってみましょう。例えば、購入金額が10万円、累計減価償却が6万円で売却価格が5万円だった場合、仕訳は次のようになります。

借方 金額 貸方 金額
現金(または預金) 5万円 備品 10万円
累計減価償却 6万円 売却益 1万円

このように、売却によって発生した現金や預金を借方に、売却した備品の帳簿価額と累計減価償却を借方に記載し、差額を売却益として貸方に記録します。

まとめ

簿記3級で備品を売却する際に累計減価償却を借方に記入する理由は、売却した備品の帳簿価額をゼロにするためです。累計減価償却の金額を借方に記入することで、過去の減価償却費用が打ち消され、売却時の正しい処理が行われます。この仕訳の仕組みを理解すれば、売却時の会計処理がスムーズに行えます。

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