2023年12月、日本製鉄(Nippon Steel)はアメリカの鉄鋼大手USスチール(U.S. Steel)を約149億ドル(約2兆円)で買収する計画を発表しました。しかし、その後の政治的な対立や規制当局の審査により、買収計画は一時的に頓挫しました。2025年5月、ドナルド・トランプ前大統領がこの提携を支持する意向を示し、状況が再び注目を集めています。この記事では、USスチールの買収計画の現状と今後の展望について解説します。
買収計画の経緯と一時的な頓挫
2023年12月、日本製鉄はUSスチールを1株55ドルで買収する提案を行い、USスチールの株主から98%以上の賛成を得ました。しかし、2024年3月、当時のジョー・バイデン大統領は国家安全保障上の懸念からこの買収を阻止しました。これにより、買収計画は一時的に頓挫しました。
その後、両社は法的手段を講じ、買収の再検討を求めました。2025年5月、ドナルド・トランプ前大統領がこの提携を支持する意向を示し、状況が再び注目を集めています。
トランプ前大統領の支持と提携の可能性
2025年5月、トランプ前大統領は自身のSNSで、日本製鉄とUSスチールの「計画的な提携」を支持する意向を表明しました。彼はこの提携が70,000件の雇用創出と、14億ドルの経済効果をもたらすと述べています。
また、USスチールの本社はピッツバーグに残すことが確認されており、国家安全保障上の懸念も対処される見込みです。これにより、買収ではなく、戦略的な提携としての形態が取られる可能性が高まっています。
労働組合の反発と今後の課題
一方、USスチールの労働組合であるUnited Steelworkers(USW)は、この提携に対して依然として反対の立場を取っています。USWは、外国企業による買収が労働条件や雇用に悪影響を及ぼす可能性があると懸念しています。
また、米国政府による最終的な承認が必要であり、国家安全保障上の観点からの審査が続いています。これらの課題が解決されない限り、提携の実現には時間がかかる可能性があります。
まとめ:提携実現への道のり
USスチールの買収計画は、政治的な対立や規制当局の審査により一時的に頓挫しましたが、トランプ前大統領の支持表明により、再び注目を集めています。現在、買収ではなく、戦略的な提携としての形態が取られる可能性が高まっています。
しかし、労働組合の反発や米国政府による最終的な承認が必要であり、これらの課題が解決されない限り、提携の実現には時間がかかる可能性があります。今後の動向に注目が集まります。