法人税の確定額よりも中間納付額が多い場合、還付加算金を受け取ることができますが、その還付加算金は益金算入される一方で、欠損金繰戻しによる法人税の還付は益金不算入とされています。この違いについて、なぜ還付加算金が益金算入されるのか、そして欠損金繰戻しと比較した場合の辻褄が合わない点について解説します。
法人税の還付加算金と益金算入
法人税の中間納付額が確定額を超えた場合、還付加算金が発生します。還付加算金は、支払い過剰となった法人税額に対して利息を加算したものであり、この加算金は益金として算入されます。なぜなら、還付加算金は会社にとって「収益」と見なされ、実際に受け取った金額が利益に反映されるからです。
具体的には、企業が中間納付額として支払った金額を超過して税金が返還された際、その返還額に対する加算金は企業の収益として扱われるため、益金に算入されます。この仕組みは税法上、企業にとって過剰納税による利益が発生したと見なされるためです。
欠損金繰戻しと益金不算入の違い
欠損金繰戻しとは、過去の赤字を繰り越して、過去に支払った法人税を還付してもらう制度です。しかし、この還付金は益金不算入となります。なぜなら、欠損金繰戻しによって還付される税金は、過去の損失に対する「返金」であり、事業活動から生じた収益ではないと見なされるからです。
このため、欠損金繰戻しによって受け取る法人税は、会計上では企業の収益として計上せず、税務上の調整のみが行われます。したがって、還付される税金自体は益金には算入されません。
還付加算金と欠損金繰戻しの仕組みの違い
還付加算金と欠損金繰戻しは、税金が返還されるという点では似ていますが、その取り扱いには重要な違いがあります。還付加算金は、企業が過剰に支払った税金に対して発生した「利息」のようなものであり、実際に企業の資金として手に入るため益金算入されます。
一方、欠損金繰戻しは過去の赤字を調整するための税金の返還であり、損失の繰り越しに関する調整に過ぎません。したがって、税務上は益金算入されず、単なる過去の税務調整として扱われます。この仕組みが、還付加算金が益金算入される理由と、欠損金繰戻しによる法人税の還付が益金不算入となる理由の違いです。
事業の赤字とこのシチュエーションの関係
「事業の後期が大赤字だった」という点について、このシチュエーションが赤字とどのように関係するのかを見ていきましょう。欠損金繰戻しは、過去の税金を還付してもらうために、過去の年度で発生した赤字を繰り戻すことに関わります。従って、大赤字を計上した場合、その赤字を繰り戻して法人税を還付してもらうことが可能です。
また、還付加算金が発生する場合は、事業が順調に進んでおり、納税額が過剰であることを示しています。したがって、還付加算金が発生するシチュエーションは、必ずしも大赤字が発生したわけではなく、むしろ納税過剰の状態を反映した結果であると言えます。
まとめ
法人税の還付加算金が益金算入されるのは、過剰納税による利益の返還であり、実際に企業にとっての収益となるためです。一方、欠損金繰戻しによる税金の還付は、過去の赤字に対する返金であり、利益として計上されないため益金不算入となります。
これらの違いを理解することで、法人税の還付加算金と欠損金繰戻しの仕組みがどのように機能し、どのように税務上の取り扱いが変わるのかが明確になります。また、このシチュエーションが事業の赤字とどのように関係するかについても理解でき、今後の税務処理における注意点を把握することができます。