特許出願において、拒絶理由通知を受けた後に一部の請求項を削除し、その後に分割出願を行うことが禁反言の原則に抵触するのかについての疑問が浮かぶことがあります。特許査定を受けた後の対応や手続きについて、法律的な観点から詳しく解説します。
禁反言の原則とは?
禁反言の原則とは、一度行った法的行為について、その行為を後から反対の立場で主張することができないという原則です。特許出願においては、出願人が過去の主張や行動を矛盾して反駁することができないという法的原則に基づきます。
特許手続きにおける禁反言は、特に「請求項の削除」と「分割出願」に関して重要な意味を持ちます。出願人が一度削除した請求項を後から復活させる行為がこの原則に触れるかどうかは、特許法の解釈において重要な問題となります。
請求項を削除後の分割出願の合法性
特許出願の過程で、拒絶理由通知を受けた後に請求項を削除し、その後分割出願を行うことが可能かどうかは、出願人が当初からその請求項を維持する意思を持っていなかった場合には合法とされています。つまり、削除した請求項を後から復活させる行為が、「過去の行動に矛盾する」ということを避けるためには、その根拠となる説明が必要です。
特許法においては、分割出願を行う際に過去の主張や請求項の削除について合理的な説明ができる場合、その行為は禁反言の原則に抵触しないとされています。しかし、過去の削除が単なる戦術的な判断であり、意図的に反対の立場を取るような場合には問題が生じることがあります。
実務上の注意点と反論の方法
実務上、請求項の削除後に分割出願を行う際には、出願人が当初の出願戦略やその後の対応について合理的な説明を行うことが重要です。特に、出願の過程での対応が自社にとって有利になるように行動した場合、その法的根拠を明確にする必要があります。
例えば、拒絶理由に対して反論を行う代わりに請求項を削除する決断をした場合、その後の分割出願が単に戦術的な変更であったことを説明することが求められます。こうした説明がなければ、後の分割出願は矛盾と見なされ、拒絶される可能性があります。
まとめ:請求項削除後の分割出願における注意点
特許出願において、請求項を削除した後に分割出願を行うことは、禁反言の原則に抵触する場合がありますが、正当な理由と説明があれば合法とされます。出願人は、削除した請求項を後から復活させる場合、その過程での意図や戦略を明確にし、法的に整合性の取れた説明を行うことが重要です。