簿記一級の試験では、未着品に関する処理がよく出題されます。未着品とは、仕入れたもののまだ到着していない商品であり、仕入れの仕訳や期末の評価方法に関して理解しておくことが重要です。この記事では、未着品の処理方法、前期試算表(T/B)における仕入高の取り扱いや、期末の仕入高計算について解説します。
未着品とは何か?
未着品とは、商品がまだ到着していないが、発注して仕入れた商品を指します。通常、仕入れた商品が到着し、倉庫や店舗に納品されるまで、実際に手許商品として扱われることはありませんが、会計上ではその商品を仕入れたものとして計上する必要があります。
この未着品の処理方法は、簿記において非常に重要です。未着品が発生した場合、それをどのように仕訳し、期末にどう取り扱うかをしっかりと理解しておくことが必要です。
仕入れの処理と未着品の関係
未着品が発生した場合、仕入れの処理は通常、仕入額を「仕入勘定」に計上することになります。たとえば、未着品が1,000円分である場合、その仕入れを「仕入1,000円 / 未着品1,000円」と仕訳します。
期末になると、未着品は実際に手許商品として扱われることになるため、期末に未着品を含めた仕入額を「仕入高」に計上し、残りの未着品は期末の棚卸高に含まれることになります。これにより、未着品が仕入れとして計上されたことを確認できます。
未着品の処理:実例と計算方法
実際の数値を使って未着品の処理を具体的に見てみましょう。たとえば、期中に1,400円の未着品が発生し、期末に800円が未着品として残っているとします。
この場合、仕入れの仕訳は「仕入1,400円 / 未着品1,400円」となり、期末に未着品が800円残っている場合、仕入高の計算時に残りの800円を含めた総仕入高を「仕入2,200円」として計上します。このように、未着品は仕入れに含まれるものの、到着した時点で実際に手許商品として計上されます。
期末一括法と未着品の処理
期末一括法では、期末の棚卸し時にすべての仕入れや未着品を一括して評価し、仕訳を行います。この方法では、未着品も期末の棚卸高に含めて評価します。
例えば、未着品が期首に500円、期中に1,000円発生し、期末に800円残っている場合、期末の仕入高は「仕入1,500円」として計上されます。この場合、未着品の残高も含まれ、期末における総仕入高を正確に反映させることができます。
期首の繰越商品と未着品
期首の繰越商品には、未着品の期首分は含まれません。期首の商品は前期から繰越されたものであり、未着品は期首の段階ではまだ到着していないため、期首商品として扱われません。
そのため、期首における繰越商品の仕訳は、「繰越商品(前期の期末残高)」として記帳され、未着品は含まれません。未着品はその期に発生したものであり、期首の商品には含まれないことを理解しておく必要があります。
まとめ
簿記における未着品の処理は、仕入れの記帳や期末の棚卸し時に重要な役割を果たします。未着品は、仕入れ時には「未着品」として計上され、期末に実際の手許商品として扱われることになります。期末一括法を使用する場合、未着品も仕入高に含まれて評価され、期首の繰越商品には未着品は含まれません。
実務においては、未着品の発生とその処理を適切に理解し、仕訳を正確に行うことが簿記試験合格のために不可欠です。