京都に本社を構えるあるゲームメーカーが、時代に逆行した家庭用ゲーム機を製造しながら、3年連続で累計5000億円の赤字を計上し、「平成の赤字王」と呼ばれたI.S元社長の経営の下でどうして経営立て直しができたのか、またなぜ不採算の家庭用ゲーム機事業から撤退しなかったのかという疑問について解説します。本記事では、株主の視点から企業の戦略や経営の背景を紐解き、ゲーム業界の動向とその企業が選んだ道について考察します。
企業の赤字続きと経営の立て直し
このゲームメーカーは、長年にわたり家庭用ゲーム機の開発を続けてきましたが、時代の流れに逆行していたことから、利益の上げにくい状況が続きました。赤字が続く中で、なぜI.S元社長は経営を立て直すことができたのでしょうか。
一つの理由として、企業が直面した赤字にも関わらず、I.S元社長が企業の核心となる部分を維持し、社内の強力な支持基盤を確立していたことが挙げられます。彼のリーダーシップと戦略的な判断が、最終的に企業を存続させるための一因となったのです。
家庭用ゲーム機事業から撤退しなかった理由
なぜ、他の企業が不採算事業から撤退する中、このゲームメーカーは家庭用ゲーム機事業から撤退せずに続けたのでしょうか?その理由の一つは、家庭用ゲーム機がこの企業にとってブランドの核となる事業だったからです。
さらに、家庭用ゲーム機事業の撤退は企業イメージに大きな影響を与える可能性があり、経営陣は市場からの期待を背負い続けることを選んだとも言えます。撤退することができなかった理由には、過去のブランド価値や顧客基盤を失うことのリスクも含まれていたと考えられます。
社長交代と新たな事業戦略
2015年7月に、I.S元社長が実質的に解任され、銀行出身のK.T前社長が就任しました。その後、K.T社長はスマートデバイス向けのゲームアプリ事業に注力し、「ポケモンGO」や「スーパーマリオラン」などの成功を収めました。
これにより、従来の家庭用ゲーム機に依存しない収益源が確立され、企業は新しい収益基盤を築くことに成功しました。これらのアプリは、企業の成長を加速させ、スマートデバイス市場におけるリーダーシップを確立するきっかけとなったのです。
なぜD○NAとの経営統合を選ばなかったのか?
このゲームメーカーがなぜD○NAとの経営統合を選ばなかったのかについては、いくつかの要因が考えられます。D○NAとの統合は、確かにリソースの共有や市場の拡大など、さまざまなメリットがあったでしょう。しかし、経営戦略や企業文化の違いが大きな障害となった可能性があります。
また、D○NAとの統合が実現していれば、現在の「横浜DeNAベイスターズ」のような形で、ブランド戦略が大きく変わることも考えられます。その結果、ゲームメーカーとしての独立性を維持したいという経営陣の意向が、統合を避ける一因となったと考えられます。
まとめ:経営の立て直しと今後の方向性
このゲームメーカーが赤字を出し続けながらも経営を立て直すことができたのは、強力な社内基盤と、適切なタイミングでの事業転換があったからです。家庭用ゲーム機事業からの撤退を避けた背景には、企業ブランドの重要性や市場の動向が影響しています。
また、社長交代後のスマートデバイス向けゲームアプリ事業へのシフトが、企業を再生させる大きな要因となり、その結果として新たな収益源が確立されました。今後の方向性としては、既存の強みを生かしつつ、新たな市場への進出を模索することが求められています。