2025年3月期の航空業界の決算が発表され、ANAホールディングス（ANA HD）と日本航空（JAL）はいずれも過去最高の売上を記録しました。特に、訪日外国人の増加が国際線の好調に繋がり、両社の業績を押し上げました。しかし、今後の業績については様々な見方があります。この記事では、両社の決算結果と、今後の業績見通しについて考察します。
ANAホールディングスの2025年3月期決算
ANA HDは、売上高が前期比10％増の2兆2,618億円となり、過去最高を記録しました。しかし、最終利益は2.6％減の1,530億円にとどまりました。この減少の主な要因は、航空エンジンメーカーによる品質問題が影響し、一部機材の点検が強いられたことです。この影響が収益にマイナスとなったことは否めません。
2026年3月期に向けて、ANA HDは増収減益を見込んでいます。具体的には、営業利益が150億～200億円押し下げられる予想となっており、今後の機材点検問題の影響が続くことが懸念されています。
日本航空の2025年3月期決算
一方、日本航空（JAL）は売上高が前期比11.6％増の1兆8,440億円、最終利益は12％増の1,070億円となり、最終利益は新型コロナ禍後、初めて1,000億円台を回復しました。これは、訪日外国人の増加や国際線の好調によるものです。
日航は今後、増収増益を見込んでおり、特に2026年3月期に向けて、売上高は10年前の経営破綻前の2兆円規模に迫る見通しです。鳥取三津子社長は、決算会見で「高い目標だが、必ず達成できると思う」と述べ、今後の成長に自信を示しています。
ANA HDとJALの今後の展望
ANA HDとJALの2025年3月期決算結果を受けて、今後の展望に対する見解は分かれています。ANA HDは、機材点検問題の影響が続くものの、訪日外国人や国際線の需要が引き続き高いことから、長期的には業績回復の余地があると考えられます。
一方で、JALは順調に増収増益を達成しており、特に国際線の需要回復に大きな期待がかかっています。航空業界の競争が激化する中で、JALは安定的な収益基盤を築きつつあり、今後も成長を続けると予想されています。
航空業界全体における課題と機会
航空業界において、両社が抱える課題としては、燃料費の高騰や機材トラブルの影響がありますが、訪日外国人の増加や国際線需要の回復といったプラス材料も存在します。特に、アジア市場や欧米市場での成長が期待されており、今後の業績に大きな影響を与えるでしょう。
また、デジタル化やエコノミークラスの競争激化が進んでいる中で、効率化やサービスの向上が求められる時代になっています。航空業界全体の変革に適応するためには、両社ともに革新的な取り組みが求められるでしょう。
まとめ：ANA HDとJALの業績と今後の見通し
ANA HDとJALの2025年3月期決算は、それぞれ過去最高の売上を記録しましたが、今後の業績に対する見通しは異なります。ANA HDは機材点検問題の影響が続き、増収減益を見込んでいますが、JALは増収増益の予測がされています。
今後、両社がどのようにして航空業界の課題に対応し、成長を続けるのかが注目されます。航空業界は厳しい競争環境にありますが、国際線の需要回復や新しいサービスの展開が鍵となるでしょう。
