簿記論の試験において、「特殊商品売買」「本支店」「連結」「税効果」などがしばしば「捨て論点」と呼ばれる理由は、これらの論点が難易度が高く、実際の試験で出題される頻度が比較的少ないためです。しかし、これらの論点を完全に捨て去ることは得策ではありません。この記事では、それぞれの論点がなぜ捨て論点とされがちなのか、その背景を解説し、効率的な対策方法についても触れます。
1. 特殊商品売買とその難易度
特殊商品売買の論点は、通常の商取引における商品売買と異なる取り扱いが必要です。これには、商品の仕入れや販売に関する独特のルールや、仕訳の方法に関しての深い理解が求められます。例えば、返品や割引など、実際の商取引ではあまり見かけない特殊な条件が絡むため、理解するのに時間がかかりがちです。
そのため、試験においては、この論点をあえて飛ばして、他の確実に点数を取れる論点に集中する戦略を選ぶ受験生も多いですが、試験全体のバランスを考えると、少しは押さえておくべきでしょう。
2. 本支店会計:計算問題が多く複雑
本支店会計は、支店の経営状況を本社に統合して記録する手続きが含まれます。この論点は、仕訳を行ったり、収益と費用を適切に分けて計上したりする作業が非常に多く、計算量も多いため、試験の時間内に全てを解くのが大変です。
また、本支店会計では本社と支店間で異なる会計処理が必要となる場合があり、理解を深めるのに時間を取られるため、受験生によっては後回しにされることが多いです。
3. 連結会計:企業グループ全体の財務状況を把握する
連結会計は、親会社と子会社の財務状況を統合して一つの決算書を作成するための技術です。この論点は、個別決算と連結決算の違いや、各種調整項目の仕訳をしっかりと理解していないと解けません。これに関しては試験では難易度が高く、特に総合問題として出題されると非常に時間がかかるため、受験生によっては「捨て論点」にされやすいのです。
ただし、連結会計を一度理解してしまえば、他の問題にも関連づけて覚えやすくなるため、少しずつでも理解を深めておくことをお勧めします。
4. 税効果会計:税務と会計のギャップを理解する
税効果会計は、税金に関する会計処理を学ぶ部分で、税務上の利益と会計上の利益のギャップを調整する仕組みです。税金がどう計上されるのかを理解することが重要で、税務署との関係を深く理解することが求められます。
税効果会計は、理解に時間がかかり、特に総合問題に含まれるとその計算が非常に面倒に感じられるため、多くの受験生がこの論点に時間をかけることを避け、他の得点しやすい部分に集中します。
5. 効率的な学習方法と捨て論点を選ばない方法
「捨て論点」と言われるものでも、全く無視するのではなく、最低限の理解を深めることが大切です。特に、試験に出題される可能性のある論点については、全てにおいて基礎的な部分を抑えた上で、難易度の高い部分には時間をかけすぎないことがポイントです。
また、過去問や模擬試験を活用して、試験の傾向を掴むことも非常に重要です。どの論点がどのように出題されやすいかを分析し、出題頻度の高い論点に集中することが、効率的な学習につながります。
まとめ
簿記論の「捨て論点」は、難易度が高いため多くの受験生が避けがちですが、全てを放棄せずに少しずつ理解を進めることが重要です。各論点の特性を理解し、自分の得意・不得意を把握しながら、試験に向けて効率的に学習を進めることが合格への近道です。