工業簿記の個別原価計算:製造間接費の配賦方法と仕訳の理解

簿記

工業簿記の個別原価計算において、製造間接費の配賦方法や仕訳について理解することは、原価管理を行う上で非常に重要です。本記事では、製造間接費の配賦基準やその仕訳について、具体的な例を交えながら解説します。特に、直接工の作業時間を基にした製造間接費の配賦方法と、貸方に製造間接費が来る理由について詳しく説明します。

製造間接費の基礎知識

製造間接費は、製造に直接関わる費用以外の費用で、例えば工場の管理費や設備の減価償却費などが含まれます。これらの費用は、個別の製品に直接配賦することができません。そのため、間接費は通常、何らかの基準に基づいて配賦されます。

例えば、製造間接費の配賦基準としては「直接作業時間」や「製造時間」、「機械の稼働時間」などが用いられます。今回の例では、「直接工の直接作業時間」を配賦基準として製造間接費が配賦されるシチュエーションについて解説します。

配賦基準の設定:直接作業時間の使用

製造間接費を配賦する際には、まず配賦基準を設定する必要があります。今回のケースでは、年間の製造間接費予算が38,400,000円、年間予定総直接作業時間が24,000時間であるとされています。この場合、1時間あたりの間接費は次のように計算できます。

1時間あたりの間接費 = 38,400,000円 ÷ 24,000時間 = 1,600円

これにより、1時間の直接作業に対して、1,600円の製造間接費を配賦することができます。

実際の作業時間に基づいた製造間接費の配賦

実際に、当月の直接工の実際作業時間が1,800時間であった場合、製造間接費の配賦額は次のように計算されます。

配賦額 = 1,800時間 × 1,600円 = 2,880,000円

したがって、当月における製造間接費の配賦額は2,880,000円となります。

仕訳の理解:製造間接費の貸方に関する疑問

質問者が疑問に思った点は、「製造間接費が貸方に来る理由」です。これについて説明します。

製造間接費は、製造指図書などに基づいて製品に配賦されます。この配賦作業は、実際に間接費が発生したことを記録するもので、貸方に製造間接費を計上することで、間接費の発生を示します。具体的には、製造間接費を仕掛品に配賦する際、仕掛品の借方に2,880,000円を記入し、製造間接費の貸方に同額を記入します。

これは、仕掛品に対して製造間接費を「仮払」した形となり、後々、最終的に製品が完成した段階で、その費用が確定して仕掛品から移動されることになります。

まとめ:製造間接費の配賦と仕訳の重要性

製造間接費の配賦は、工場の原価計算において非常に重要な役割を果たします。直接作業時間を基準にして配賦額を算出する方法は、実際の労働時間を反映した公平な方法として広く用いられています。また、製造間接費を貸方に計上する仕訳は、費用が発生したことを記録する重要なステップです。

このように、工業簿記の基本的な仕訳方法を理解することで、より正確な原価計算ができるようになります。実際の運用においても、これらの知識を活用して、効率的な原価管理を行いましょう。

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