その他有価証券の時価変動:包括利益と当期純利益の有用性

会計、経理、財務

その他有価証券として保有する株式の期末時価が一時的に大きく変動することがあります。このような変動は、株式の発行会社の業績以外の要因で発生することもありますが、その場合、包括利益と親会社株主に帰属する当期純利益のうち、どちらの情報が利益として有用なのでしょうか?この記事では、この疑問を解決するために、両者の違いとその有用性について解説します。

包括利益とは?

包括利益は、企業が一定期間に得た全ての利益を示す指標であり、通常の営業活動による利益(営業利益)に加えて、その他の収益や損失も含まれます。この指標には、その他有価証券の評価差額など、企業の業績に直接関係しない項目も含まれるため、経済的な変動の影響を反映することができます。

例えば、その他有価証券の株式が市場の動向により大きく価値が変動した場合、その評価差額は「その他の包括利益」として計上され、包括利益の一部となります。これにより、企業の財務状況や経済の変動による影響をより広く捉えることができます。

親会社株主に帰属する当期純利益とは?

親会社株主に帰属する当期純利益は、企業の営業活動やその他の収益活動から得られる純粋な利益を示す指標です。この指標は、企業の本業での収益性を評価するために重要ですが、その他有価証券の時価変動などの一時的な影響は含まれません。

つまり、当期純利益は主に企業の営業活動に基づいた利益を示し、株式の発行会社の業績に関連する項目が中心となります。これにより、企業が本業でどれだけ収益を上げているかを把握することができますが、市場の変動や一時的な影響は反映されません。

時価変動が包括利益と当期純利益に与える影響

株式の発行会社の業績以外の要因で株式の期末時価が大きく変動した場合、この影響がどちらの利益に反映されるかは重要です。その他有価証券の評価差額は、包括利益に含まれるため、市場の動向により一時的に価値が大きく変動しても、これが包括利益に反映されます。

一方、親会社株主に帰属する当期純利益には、通常、こうした評価差額は含まれません。したがって、株式の時価変動が直接的に影響を与えるのは包括利益であり、そのため、投資家や関係者が企業の総合的なパフォーマンスを理解するためには、包括利益を見ることが有用であると言えます。

どちらが有用か?包括利益か、当期純利益か

包括利益と親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ異なる目的で使用されます。時価変動など、株式の評価が市場の影響を強く受ける場合、包括利益はその変動を反映しているため、投資家やアナリストにとっては企業の総合的な業績を把握するために有用です。

一方、企業の本業の収益性を評価する場合、当期純利益が重要な指標となります。特に、株式市場の動きが一時的なものであれば、企業の営業活動による実質的な利益を見ることが有用です。

まとめ:時価変動の影響を評価するためには包括利益を見るべき

その他有価証券の株式が市場の影響で一時的に大きく変動した場合、包括利益がその変動を反映するため、株式の時価変動が企業全体の業績にどのように影響を与えたかを理解するためには包括利益を見ることが有用です。

一方で、企業の本業での収益性を重視する場合は、親会社株主に帰属する当期純利益がより有用な指標となります。したがって、目的に応じて、どちらの指標が有用かを使い分けることが重要です。

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