簿記一級の税効果会計において、繰延税金資産と繰延税金負債の取り扱いは理解が難しい部分もあります。特に土地や建物の価値の変動による税効果や、減価償却累計額に関連する税効果会計の処理については混乱しやすい点です。この記事では、これらの問題を解説し、税効果会計の見分け方を詳しく説明します。
税効果会計の基本的な仕組み
税効果会計では、企業の会計上の利益と税務上の利益が一致しない場合に生じる差異について、将来の税金の支払いまたは受け取りを見込んで繰延税金資産または繰延税金負債を計上します。具体的には、会計上の利益と税務上の利益が異なる場合、その差額に基づいて税金が繰り延べられるという考え方です。
土地や建物の価値変動と税効果会計
土地や建物は、価値が上昇した場合に貸方に繰延税金負債が計上されることがあります。これは、土地や建物の再評価が税務上の利益に影響を与えるためです。しかし、価値が下がる場合には繰延税金負債が逆に減少することがありますが、価値下落分が税務上認識されないことが一般的であるため、繰延税金負債が減少することは少ないです。
貸倒引当金の取り扱いと繰延税金負債
貸倒引当金を計上する場合、通常はその反対側に繰延税金負債が計上されます。これは、引当金が税務上の費用として認められるため、税金が繰り延べられるという考え方です。引当金の計上により、将来支払う税金を少なくすることが可能となります。
減価償却累計額と繰延税金資産の関係
減価償却累計額は、税務上の利益と会計上の利益の差異を生じさせる要因となります。減価償却が進むことで、会計上は利益が減少しますが、税務上の利益はそのまま保持されるため、繰延税金資産が計上されることがあります。これは、将来の税金を軽減するために繰延税金資産を使用できるからです。
税効果会計の見分け方
繰延税金資産と繰延税金負債の見分け方は、会計上と税務上の利益の差異が将来どのように解消されるかによって決まります。土地や建物の場合、価値が上昇すれば繰延税金負債が増加し、価値が下がると繰延税金負債が減少する傾向があります。減価償却累計額の場合、税務上の利益が減少することで繰延税金資産が計上されます。
まとめ
簿記一級の税効果会計では、繰延税金資産と繰延税金負債の取り扱いが複雑ですが、基本的な原則を理解することで、土地や建物、貸倒引当金、減価償却累計額に関連する処理を適切に行うことができます。税効果会計の仕組みをしっかりと理解し、会計上の利益と税務上の利益の差異を正しく計上することが重要です。