減損処理は、企業が保有する固定資産の価値が回収可能額を下回った場合に行う会計処理です。固定資産の帳簿価額、割引前将来キャッシュフロー(C/F)、回収可能額がわかっている場合、減損損失額をどのように算出すればよいのでしょうか?また、回収可能額が不明な場合、どのように計算するかについて解説します。
減損処理の基本的な流れ
減損処理を行う際には、まず「回収可能額」を計算する必要があります。回収可能額は、固定資産の使用価値と売却価額のいずれか高い方を指します。使用価値は、将来のキャッシュフロー(C/F)を割引率を適用して現在価値に割り引いた金額です。
次に、回収可能額と帳簿価額を比較します。もし回収可能額が帳簿価額より低ければ、その差額が減損損失として計上されます。この差額が減損損失額となります。
減損損失額の計算方法
減損損失額は、次の手順で計算します。まず、帳簿価額と回収可能額を比較し、回収可能額が帳簿価額より低い場合、その差額を減損損失として認識します。
具体的には、以下の計算式が使用されます。
- 減損損失額 = 帳簿価額 – 回収可能額
回収可能額を計算するためには、割引前の将来キャッシュフローを使って割引率を適用し、現在価値を算出します。この割引率は、企業の加重平均資本コスト(WACC)などを基に設定されることが一般的です。
回収可能価額の計算方法(回収可能価額が分からない場合)
回収可能価額が分からない場合、割引前将来キャッシュフロー(C/F)と帳簿価額がわかっている場合でも、計算が可能です。回収可能額は、使用価値と売却価額のいずれか高い方です。まず、将来のキャッシュフローを割引率で割り引いて使用価値を算出し、売却価額があればそれと比較します。
回収可能額 = max(使用価値、売却価額)となります。もし使用価値がわからない場合、仮定の売却価額を基に推定することもありますが、正確な値を得るためには適切な割引率を使ってキャッシュフローを計算することが重要です。
帳簿価額、割引前将来C/F、回収可能価額の関係
帳簿価額、割引前将来C/F、回収可能価額は、減損処理において非常に密接に関連しています。まず、帳簿価額は固定資産の購入価格や取得原価を基にして記録されています。
割引前将来C/Fは、固定資産の将来のキャッシュフローを予測したもので、その金額を割引率を使って現在価値に割り引いたものが使用価値となります。回収可能額は、この使用価値と売却価額のいずれか高い方を選び、最終的に減損損失を認識します。
まとめ
減損処理を行うためには、まず回収可能額を正確に計算することが必要です。回収可能額が帳簿価額を下回る場合、その差額が減損損失として計上されます。回収可能額の計算方法としては、割引前将来C/Fを使って使用価値を算出することが基本となります。
もし回収可能額が不明な場合でも、適切な割引率を使ってキャッシュフローを割引し、使用価値を求めることができます。これにより、正確な減損処理が行え、財務諸表に反映されます。