有期雇用社員の育休と契約終了に関する法的取り扱い

労働問題、働き方

有期雇用社員が産休や育休を取得した場合、その後の契約終了や退職についてはどのように扱われるのでしょうか?特に、契約期間が終了するタイミングと育休の期間が重なる場合、法的にどのような処置が取られるべきなのかは企業側にとっても従業員側にとっても重要な問題です。この記事では、有期雇用社員の育休と契約終了に関する取り扱いについて解説します。

有期雇用社員と育休の基本的な取り扱い

有期雇用契約を結んでいる労働者が育児休業を取得する際には、いくつかの法的要件や取り決めが関連してきます。まず、労働基準法において、育児休業は正社員に限らず、有期雇用社員にも適用されます。しかし、有期雇用契約の終了時期と育休の取得期間が重なる場合、いくつかの制限や規定が存在します。

育児休業中に契約期間が満了する場合、その後の契約更新に関して法的な取り決めが影響します。例えば、契約終了後に育休を取得していた場合でも、その期間中に契約が終了する場合、通常は不利益取り扱いとして認定されることはありません。しかし、実際にはどのように処理されるかについてはケースバイケースです。

通達「育児発0123第1号」に関する解釈

平成27年に出された「育児発0123第1号」の通達では、妊娠・出産・育休等を契機にした雇止めに関する規定があります。この通達によると、「事由の終了」から1年以内に雇止めなどの不利益取扱いがあった場合、それは妊娠・出産・育休等を理由にした不利益取扱いと見なされる可能性があるとされています。

つまり、育休を取得した有期雇用社員に対して、契約満了を理由に解雇する場合、産後休業を含む育休の取得がそのまま影響を与えます。特に育休後6ヶ月以内に雇止めが行われた場合、その判断が不当であるとされることもあります。したがって、企業が契約終了時に育休取得者に対して不利益な取り扱いを行う場合、十分な配慮が必要です。

産後休業と契約終了のタイミング

産後休業終了後、契約期間がまだ残っている場合、基本的には契約期間満了まで勤務する権利が認められます。契約が満了するまでの間、育児休業給付金の受給や、その後の処遇についても問題が生じることがあります。

もし契約終了が決定されている場合、企業はその取り決めを遵守する必要がありますが、育休後に雇用契約を終了する場合には、雇止めに該当しないか確認することが大切です。企業側が契約終了を通告する際に、育休を理由に不利益な取り扱いをしないよう、法的な規定をしっかりと守ることが求められます。

企業と労働者の両方の配慮が必要

企業が有期雇用社員に育休を与え、契約終了後に問題が生じないようにするためには、契約内容の明確化とコミュニケーションが重要です。また、従業員に対しても法的な権利を理解し、育休後の復職に関する取り決めがある場合は早めに確認しておくことが重要です。

労働者側も、自分が有期雇用である場合には、育休を取得する際の契約終了時期とその後の処遇について確認し、必要であれば相談窓口を利用するなどの対応を取るべきです。

まとめ

有期雇用社員が育児休業を取得する際には、契約終了時期との調整が重要なポイントです。企業は育休を取得した社員を不利益に扱うことがないように法的な配慮をし、従業員も契約更新や雇用条件に関する理解を深めることが大切です。特に、育児発0123第1号の通達を考慮に入れ、育休を取得する労働者が適切に処遇されるよう、企業と労働者双方がしっかりと確認することが必要です。

タイトルとURLをコピーしました