中小企業やオーナー企業において、「株式の整理」や「経営の簡素化」を目的に、発行済株式を併合して1株にしたいと考えるケースがあります。とくに株主が一人だけの場合、このような株式併合のニーズは珍しくありません。
本記事では、会社の発行株式を1株にまとめることは可能なのか、法的手続きや注意点、実際の事例も交えてわかりやすく解説します。
株式併合とは?その基本的な仕組み
株式併合とは、既存の複数株式を統合して、より少ない株数にする会社法上の手続きです。たとえば「300株を1株にする」といった具合に、所有株式数を一定の割合で減らすことができます。
株式分割とは逆の操作であり、資本金や株主の持ち分割合に変化はありませんが、発行済株式の総数が減ることで株主構成や議決権のシンプル化が図れます。
株式を1株に併合することは法的に可能?
結論から言うと、理論上「1株」に併合することは可能です。会社法では、株式併合の具体的な上限や下限を定めていません。
ただし、併合後の発行済株式数が「1株のみ」になる場合、その1株が誰の所有となるのか、他の株式はどう扱うのかといった点に注意が必要です。全株主が同意しているケースでは特段の問題は起こりにくいですが、少数株主が存在する場合はトラブルの元になります。
全株主が1人の場合の併合はスムーズ
たとえば「300株すべてを代表者個人が保有している」ようなケースでは、株主総会の特別決議(株主の2/3以上の同意)を得るのも現実的に簡単です。
このような状況下では、会社法第179条に基づいて「株式併合の特別決議」を行い、その後、登記変更をすれば問題なく併合を実施することができます。
株式併合に必要な手続きの流れ
実際に株式併合を実施するには、以下のような手順が必要です。
ステップ | 内容 |
---|---|
1 | 株主総会で株式併合の特別決議を行う |
2 | 定款変更(必要に応じて発行可能株式数の修正など) |
3 | 株式併合の実施日を決定 |
4 | 法務局への変更登記申請 |
なお、公告義務(官報などへの掲載)や債権者保護手続きが必要となる場合もありますので、専門家のサポートを受けると安心です。
株式併合の目的とメリット
中小企業が株式併合を行う主な目的は以下の通りです。
- 株主構成の整理
- 議決権の一本化(経営の迅速化)
- 資本政策の自由度を上げる
特に事業承継や事業売却の準備段階で、株式の数を整理しておくとスムーズに進むケースが多くあります。
実例:株主1名の会社が1株に併合したケース
東京都内で飲食事業を行っていたある株式会社では、代表者が全株式を保有しており、事業再編にあたって株式を「1株」に併合。会計士と司法書士のサポートを受けて、株主総会から登記までを約1ヶ月で完了させました。
その後、第三者に株式を100%売却する際、交渉やデューデリジェンスも非常にスムーズに進んだというメリットがあったそうです。
まとめ:発行済株式を1株に併合するのは可能だが、慎重な設計がカギ
会社の株式を1株にまとめることは、法的には可能です。ただし、株主構成や併合目的に応じて適切な手続きを踏む必要があります。
特に全株式を保有している場合は比較的簡単に進められますが、専門家への相談や正確な登記処理が求められるため、司法書士や税理士と連携して進めることが成功のカギとなります。