うつ病などで長期休職に入った際、「給与がどう処理されるのか」「欠勤控除の対象期間はいつまでか」「控除額が大きすぎるのではないか」など、分かりづらい点に戸惑う方も多いのではないでしょうか。特に給与明細に『マイナス控除』や『社会保険料の個人負担』などが記載されていると、不安を感じるのも無理はありません。
この記事では、休職時の給与計算・控除の基本的な考え方、そして「なぜ今この金額が引かれているのか」というタイミングの理由を、具体例とともに解説します。
まず確認すべき「給与の締め日と支払日」
ご相談内容のケースでは、給与の締め日は毎月20日、支払日は翌月25日とのことです。これはつまり、たとえば「3月25日支給分」は、2月21日~3月20日の勤務・欠勤状況を反映して支払われるということになります。
よって、「3月25日の給与明細に3月分(3月度)の控除がある」というのは、制度的に正しく、給与計算上のタイミング通りといえます。
「休職」と「欠勤」の違いと控除の扱い
会社における「欠勤」と「休職」では、法的な取り扱いが異なります。重要な違いを整理すると以下の通りです。
項目 | 欠勤 | 休職 |
---|---|---|
状態 | 在籍中で勤務していない | 在籍しているが労務提供義務を停止 |
給与 | 欠勤控除あり(通常支給なし) | 原則無給(傷病手当金対象) |
社会保険料 | 給与から天引き | 会社経由で個人負担(振込など) |
2月14日に正式に「休職辞令」が出たということは、それ以降の期間は「欠勤」ではなく「休職」として扱われるべきです。ただし、休職期間の初回の給与計算にタイムラグがあるため、反映は翌月給与になるケースが多いのです。
なぜ「翌月分の欠勤控除」が今月明細にあるのか
休職辞令が2月14日付で出ているため、3月25日の給与(2/21~3/20)は休職初月の扱いになります。よって、この期間の給与支給がゼロになり、欠勤控除としてマイナス表示されるのは正当といえます。
「勤務実績がゼロでも控除が表示される」ことについては、給与計算ソフトの仕様や会社の計算ルールによって「実質無支給でマイナス計上」される場合があり、明細上はあたかも過払いがあるように見えることもあります。
休職中も発生する支払い:社会保険料と住民税
休職中も「会社に籍がある限り」、以下の支払い義務が発生します。
- 健康保険・厚生年金保険料(会社と折半)
- 雇用保険料(原則、無給期間中は発生しない)
- 住民税(前年度所得に基づき、毎月納税)
給与から天引きできないため、会社から振込用紙が届く仕組みになっています。
今後の流れと「どこに相談すればいいか」
今後、給与の支払いが完全にストップしている状態が続く場合、控除の処理も明細上はゼロ計上になるか、備考欄のみの記載に変わることが多いです。
もし「控除額に不明点がある」「説明が不十分」と感じる場合は、以下の相談窓口が利用できます。
- 全国の労働基準監督署
- 各地の労働局
- 法テラス(法律相談・無料あり)
- 社会保険労務士(社労士)に個別相談
まとめ:明細と制度を照らし合わせ、納得の上で確認を
休職中の給与や控除は非常に複雑で、時期や制度によって大きく見え方が変わります。今回のケースでは、締め日・支給日・休職開始日のタイミングが要因で「ずれ」が出ており、控除自体が不当とは言い切れません。
とはいえ、給与明細は自分で納得できるようになって初めて「安心」につながります。不明点は放置せず、信頼できる第三者や社外機関に早めに相談しましょう。