経営状況の悪化により会社が人件費を削減しようとするケースは少なくありません。しかし、従業員の同意なく給与を減額したり、退職を迫る行為は労働法上の問題を含む可能性があります。この記事では、会社の一方的な減給や退職強要が違法であるのかどうか、また従業員がとるべき対応について、実際のケースに即して解説します。
1. 減給には「労働者の同意」が必須
会社が従業員の給与を引き下げる場合、従業員本人の同意がなければ違法です。労働条件は労働契約に基づいており、会社が一方的に変更することは原則できません(労働契約法第8条)。
つまり、「給料を15万円にする」と言われても、それをあなたが明確に承諾していない限り、減給は無効です。書面での契約変更や合意がなければ、給与を下げて支払うことは賃金不払いとなる可能性もあります。
2. 退職の意思表示がないのに「辞めたことにされる」はNG
会社側が、退職届の提出や本人の意思表示なしに「辞める方向で話を進めている」というのは不当です。労働契約の終了には、原則として当事者の合意または法的に正当な理由が必要です。
このような「退職勧奨」に応じる義務はなく、強要された場合は「不当解雇」や「パワーハラスメント」として問題になります。無断で退職処理されそうな場合は、証拠を残しておくことが非常に重要です。
3. 役員の報酬は会社判断でも、従業員とは別の扱い
会社の役員(取締役など)は労働者ではなく、報酬の決定は株主総会などで決まります。したがって、役員の報酬が減らされていなくても、法律上問題になるとは限りません。
しかし、従業員だけが不当に減給される場合は、労働者としての権利侵害が疑われます。特に、経営陣が自らの報酬を維持しつつ、従業員の生活に直接影響する減給や解雇を進めるのであれば、その正当性には大きな疑問が残ります。
4. 取るべき具体的な対応方法
以下のような対応をとることで、自身の権利を守ることができます。
- 書面での確認: 給与の変更や退職に関する通知があれば、必ず文書でのやり取りを求めましょう。
- 録音・記録: 減給や退職の話し合いは録音するなど、証拠を残すことが重要です。
- 労働基準監督署に相談: 不当な減給や退職強要がある場合、労基署に相談することで是正指導を受けられる場合があります。
- 無料の労働相談窓口を活用: 地方自治体や弁護士会などが行っている無料相談も有効です。
例として、Aさんが労基署に相談し、証拠を提出した結果、会社に是正勧告が出され、給与が元に戻されたというケースもあります。
5. まとめ:従業員の権利を守るために
会社の経営悪化を理由に、従業員の同意なく減給を行ったり、退職を迫ることは原則として違法です。特に書面による合意がない減給や、本人の意思がない退職処理は、法的に無効となる可能性が高いです。
このような場面では、自分の権利を守るために冷静に対応し、証拠を集め、必要に応じて専門機関へ相談することが大切です。泣き寝入りせず、正しい情報と行動で、自身の立場をしっかりと守りましょう。