企業の財務情報の正確性を担保するために行われる監査。その中でも「中間監査」は、上場企業を中心に四半期や中間決算に関する情報の信頼性を確保するために実施されます。しかし、「会計監査人が中間監査を行わない場合、誰が代わりに行うのか？」という疑問を持たれる方も多いでしょう。この記事では、中間監査の概要と、実際に誰がその役割を担うのかを解説します。
1. 中間監査とは何か？その目的を再確認
中間監査とは、通常の年度末の監査とは異なり、中間決算（多くの場合6か月時点）に対して行われる監査です。これは、投資家や市場に対して、中間報告書に記載された財務情報が正確であることを示すためのものです。
中間監査には「レビュー（limited review）」と「監査（audit）」の2種類があり、多くの企業ではコストや業務負担を考慮してレビューを選択しています。これは、監査に比べて手続きが簡易で、限定的な保証を与える形式です。
2. 会計監査人が中間監査を行わないケースとは？
実際には、中間監査が法的に義務付けられていない企業（非上場企業など）や、中間財務諸表の外部提出が不要な企業では、会計監査人による中間監査が実施されないことがあります。
また、会計監査人によっては、契約内容や会社の要望に応じて中間レビューを行わない方針をとる場合もあり、その場合は企業内で別の手段を取る必要があります。
3. 中間監査を会計監査人が行わない場合、誰が実施するのか？
会計監査人が中間監査やレビューを行わない場合、以下のような対応がとられることがあります。
- 社内の経理部門や内部監査部門によるチェック
→ 財務報告の整合性を内部で確保するためのプロセスです。 - 第三者による財務アドバイザリー契約
→ 会計士やコンサルタントに依頼して、レビュー的なチェックを行うことがあります。 - 監査役や監査委員会によるモニタリング
→ 特に上場準備中の会社では、監査役が中間報告を確認する体制を整えることが多いです。
このように、会計監査人以外の立場でも、一定のレビューや確認作業を行うことで、企業は中間期の財務の信頼性を確保しています。
4. 上場企業と非上場企業の中間監査の違い
上場企業では、金融商品取引法により四半期レビューが義務付けられているため、必ず会計監査人が中間レビューを行います。四半期報告書には監査法人の「四半期レビュー報告書」が添付されており、これが金融庁や株主への信頼性を保証する一因となっています。
一方、非上場企業では中間監査やレビューは法的に義務付けられていないため、企業の判断により実施の有無が決まります。そのため、外部機関による監査を受けず、内部チェックのみで済ませている企業も少なくありません。
5. 中間監査がなくても企業が気をつけるべきこと
たとえ中間監査を外部の会計監査人が行わない場合でも、企業は以下のような点に留意すべきです。
- 内部統制の強化：不正や誤りを防ぐための社内体制づくり
- 月次・四半期決算の精度向上：定期的に財務状況を正確に把握する仕組み
- 財務諸表の透明性：株主や金融機関に対する説明責任の担保
これにより、社内外のステークホルダーからの信頼を維持することが可能になります。
6. まとめ
中間監査は必ずしもすべての企業にとって義務ではなく、会計監査人が行わないケースもあります。その場合は、社内の監査部門や監査役、または外部アドバイザーが代わりにレビューを行うことになります。
企業にとって中間期の財務管理は、将来の資金調達や経営判断において非常に重要です。会計監査人による監査がなくても、適切な体制で中間財務情報の信頼性を確保する取り組みが必要不可欠です。
